松田秀知

松田秀知（まつだ ひでとも）氏は、1950年7月26日に生まれ、2021年9月に71歳で逝去した日本のテレビドラマ界を代表する演出家、ディレクターです。

経歴

大阪芸術大学放送学科を卒業後、フジテレビにて契約ディレクターとしてキャリアをスタートさせました。その後、1987年に共同テレビに入社し、部長待遇ゼネラルディレクターを務めるなど、長年にわたり同社で数多くの作品を手がけました。共同テレビを離れた後には、母校である大阪芸術大学放送学科で教授として後進の指導にもあたりました。

演出家としての実績

松田氏は、俳優の田村正和、陣内孝則、柳葉敏郎といった面々をはじめ、多くの俳優と作品を通じて関わりました。特に近年は、女優・米倉涼子が主演する連続ドラマシリーズで重要な役割を担い、『松本清張 黒革の手帖』（2004年）、『松本清張 けものみち』（2006年）、『わるいやつら』（2007年）、『交渉人〜THE NEGOTIATOR〜』（2008年・2009年）、『ナサケの女〜国税局査察官〜』（2010年）など、4作品以上の連続ドラマでメイン監督を務め、その手腕を発揮しました。米倉涼子とはプライベートでも本音で語り合えるほど親密な関係で、「喧嘩するほど仲が良い」と言われる信頼関係で結ばれていたようです。また、2010年には米倉主演の劇場版『交渉人 THE MOVIE』で初めて映画監督を務め、その活動の幅を広げました。

主な監督作品

テレビドラマにおいては、様々なジャンルの人気作品を手がけました。

『世にも奇妙な物語』（1990年〜2006年）：黎明期から参加し、「王様の耳はロバの耳」「テレフォンカード」（1990年）、「夢を買う男」「開かずの踏切」「午前3時のノック」（1991年）、「気づかれない男」「ロンドンは作られていない」（1992年）、「すみません、握手してください」「テレパシー・ラブ」（1996年）、「管理人」（1997年）、「おかしなまち」（2002年）、「奥さん屋さん」（2006年）など、数多くの個性的なエピソードを演出しました。
『古畑任三郎』シリーズ（1994年〜1996年）：人気ミステリードラマの初期シリーズで、田村正和演じる主人公の独特な世界観を構築する上で重要な役割を果たしました。「ピアノ・レッスン」「殺人特急」「さよなら、DJ」「最後のあいさつ」「笑うカンガルー」「笑わない女」「赤か、青か」「VSクイズ王」「魔術師の選択」といったエピソードを担当しました。また、スピンオフ作品『巡査・今泉慎太郎』でも複数の回を演出しています。
米倉涼子主演シリーズ：前述の通り、『黒革の手帖』、『けものみち』、『わるいやつら』、『交渉人』、『ナサケの女』でメイン監督を務め、さらに高視聴率を獲得した人気シリーズ『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』（2012年〜2014年）でも主要な回を演出しました。
その他の主なメイン監督作品として、『君のためにできること』（1992年）、NHKのBSドラマ『チョコレート革命』（1998年）、『けものみち』（2006年）、『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』（2007年）、『セレブと貧乏太郎』（2008年）、『アタシんちの男子』（2009年）、『ぼくの夏休み』（2012年）、テレビ東京開局55周年特別企画『最後のオンナ』（2020年）などがあります。

受賞歴

1994年には、担当した『警部補・古畑任三郎』の演出により、星護、河野圭太と共に第1回ザテレビジョンドラマアカデミー賞の監督賞を受賞しています。

多岐にわたるジャンルで数々のヒット作、話題作を生み出し、日本のテレビドラマ界に多大な貢献をした演出家でした。

もう一度検索