松田道弘

松田道弘：奇術と遊びの探求者

松田道弘（1936年 - 2021年）は、日本の著述家であり、奇術研究家として知られています。日本推理作家協会会員として、その活動はマジック、ゲーム、ジョーク、ミステリ小説と多岐に渡り、多くの読者、ファンを魅了しました。医師であり育児評論家、歴史家でもあった父・松田道雄の影響を受け、京都府京都市で生まれ育ち、同志社大学経済学部を卒業。学生時代から海外奇術やゲーム、マジックの文献に没頭し、ラジオ関西勤務を経て、著述家としての道を歩み始めます。

マジックの世界への貢献

松田氏の活動の中心は、間違いなくマジックです。数多くのマジック関連書籍を執筆・翻訳しており、その内容は初心者向けの入門書から、高度なテクニックを解説した専門書まで多岐に渡ります。特に、クロースアップ・マジック（観客の目の前で演じるマジック）に関する著作は高く評価され、長年に渡り愛読されてきました。『クロースアップ・マジック』は、初版から復刊を重ね、現代でもマジック愛好家にとって必携の一冊と言われています。また、『松田道弘のカードマジック』シリーズなど、彼の名前を冠した書籍は、多くのマジシャンを育成する役割を果たしました。

彼の著作は、単なるマジックの手順書ではありません。マジックの歴史や、著名なマジシャンたちの紹介、そしてマジックを創作する上での発想や思考方法についても深く掘り下げており、読者にマジックの世界を多角的に理解させることに成功しています。さらに、彼が手がけた書籍は、その丁寧な解説と実践的な内容から、初心者からベテランまで幅広い層に支持されてきました。

遊びとミステリの探究

マジックにとどまらず、松田氏はゲーム、ジョーク、ミステリ小説についても造詣が深く、多くの著作を残しています。彼の著作は、単なる遊びの解説書ではありません。遊びやジョーク、ミステリの背後にある発想や創造性を深く掘り下げ、読者に思考力を養う機会を与えてくれます。『トリックものがたり』や『ミステリ作家のたくらみ』といった作品は、日本推理作家協会賞の候補作品にも選ばれ、その高い評価を裏付けています。『松田道弘　遊びの本』全6巻、『松田道弘　遊びの冒険』全5巻といったシリーズを通して、遊びの多様性と奥深さを追求し、読者に新たな視点を与えました。

翻訳活動にも力を入れ、海外のマジックやゲームに関する書籍を数多く日本語に翻訳することで、日本の読者へ世界各国の文化を紹介することに貢献しました。

受賞歴と評価

1979年には第12回石田天海賞を受賞。1980年の『とりっくものがたり』と1989年の『ミステリ作家のたくらみ』では、日本推理作家協会賞・評論その他の部門で候補作品にノミネートされるなど、その才能は高く評価されました。

死後

2021年10月24日、85歳で老衰のため逝去。数多くの著作は、現在も多くの読者、マジシャン、ゲーム愛好家らによって読み継がれ、その功績は今もなおマジック界、そして日本の出版文化に大きな影響を与え続けています。彼の残した著作は、これからも多くの人々に、遊びと創造性の喜びを届けてくれるでしょう。

主要著作（抜粋）

マジック関連:
『クロースアップ・マジック』
『奇術の楽しみ』
『松田道弘のカードマジック』シリーズ
『マジック大全』
『世界のマジシャン・フーズフー マジシャン人名録』

遊び・ジョーク・ミステリ関連:
『とりっくものがたり』
『トリック専科』
『ジョークのたのしみ』
『ミステリ作家のたくらみ』
『世界のゲーム事典』

松田道弘氏の多彩な活動は、マジックやゲームといった遊びの世界を、単なる娯楽の枠を超え、知的な探求の対象として捉え直す契機を与えてくれました。彼の功績は、これからも多くの人々にインスピレーションを与え続けることでしょう。

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