松阪音楽コンクール

松阪音楽コンクール

松阪音楽コンクール、またはMMCA音楽コンクールとして知られるこの催しは、松阪文化音楽協会が主催し、中日新聞本社と三重テレビ放送の後援のもと開催された、ピアノの独奏および連弾を対象とした音楽コンクールです。

概要と歴史

このコンクールは、ピアノ教授であり音楽学者でもあった市田儀一郎氏を審査委員長として迎え、1988年に第一回が幕を開けました。開始当初はピアノ独奏部門のみが実施されていました。

従来の慣例では、参加者の年齢別に課題曲を選定することが一般的でしたが、このコンクールはその慣例を覆す、極めて画期的なシステムを採用しました。具体的には、約16曲の幅広い難易度の課題曲が提示され、最も易しい曲から最も難しい曲までが示される中で、参加者は自身の判断でどの課題曲を選択しても良いという自由度の高い方式でした。この独自のシステムは、コンクールの最終回まで一貫して維持されました。

また、受賞システムにおいても特異性が見られました。一般的に音楽コンクールでは「第一位」「第二位」といった順位付けが行われますが、松阪音楽コンクールでは順位制を採用せず、中日新聞社賞などのように特定の名称を冠した賞を授与する形式を取りました。この方式は当時としては非常に珍しく、結果として該当者なしとなる空位を防ぐことが可能となりました。最も優秀な演奏を行ったと認められた参加者には、主要な賞である中日新聞社賞が贈られました。

第二回からは、受賞者の功績を称え、彼らが演奏を披露する機会として受賞者記念演奏会制度が開始されました。

参加者、特に若い世代の増加に伴い、コンクールは年々活気を帯びていきました。それに伴い、選考方式も進化し、予選と本選の二段階制が導入されました。さらに、ピアノ連弾部門も新たに創設され、多様な形式での参加が可能となりました。長年にわたりコンクールに継続して参加する出場者を称える連続出場者表彰制度も設けられるなど、コンクールは三重県松阪市が誇る音楽文化の一翼を担う存在へと成長を遂げました。その評判は三重県内に留まらず、県外からの参加者も集まるほどの規模となりました。

コンクール名については、一時期「MMCA音楽コンクール」と改称された時期もありましたが、後に元の名称に戻されました。

終焉

しかしながら、長年コンクールの中心的役割を担った審査委員長の市田儀一郎氏が逝去され、さらに主催団体である松阪文化音楽協会が解散するという背景から、コンクールはその歴史に幕を下ろすこととなりました。最後の開催となったのは2018年の第16回でした。

中日新聞社賞受賞者一覧（抜粋）

第7回 宮原祥子
第8回 山田志保理
第9回 中浴聡
第10回 柏本たまき
第11回 西山紗矢香
第12回 山田志保理
第13回 冨士澤桂英, 冨士澤沙椰 (連弾)
第14回 水谷結愛
第15回 小見山治也
第16回 小津紋

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