板倉卓人

板倉 卓人（いたくら たくと）

板倉 卓人氏は、1948年（昭和23年）1月2日にこの世に生を受けた、日本の元NHKアナウンサーです。半世紀近い長きにわたり、明瞭な声と的確な言葉遣いで、数多くの番組を通じて視聴者やリスナーに情報を届け、親しまれてきました。特に、アナウンサーとしてのキャリア後半を過ごした愛媛県松山の地を深く愛し、その地を人生の終着点と定めたことは、彼の人生における重要な節目となっています。

経歴とアナウンサーとしての足跡

板倉氏は東京都新宿区の出身です。学業は東京都立青山高等学校で修めた後、早稲田大学に進学し、文学部で学びました。大学を卒業した翌年の1971年（昭和46年）に、日本放送協会（NHK）にアナウンサーとして採用され、プロとしての道を歩み始めます。アナウンサーとしての第一歩を踏み出したのは、島根県の松江放送局でした。この初任地で、放送の基本や地域に根差した情報発信の重要性を学んだことでしょう。

松江での経験を積んだ後、板倉氏は全国各地のNHK放送局に赴任し、それぞれの土地の特色を反映した番組や、全国に向けてのニュース、情報番組など、多岐にわたるジャンルの番組制作・出演に携わりました。アナウンサーとしての技量を磨きながら、幅広い分野でその存在感を示していきました。そして1999年（平成11年）、長年勤務した名古屋放送局から、愛媛県の松山放送局への異動を命じられます。

松山との出会い、そして「終の棲家」へ

松山への赴任は、板倉氏の人生観やキャリアの方向性に大きな影響を与えることとなります。瀬戸内海に面した穏やかな気候、豊かな自然、そして何よりもそこに暮らす人々の温かさや飾らない人情に触れるにつれて、板倉氏は次第にこの土地に強い魅力を感じるようになりました。単なる勤務地としてではなく、自身の生涯を終える場所としてこの地を選びたいという思いが芽生え、その決意を形にするかのように、松山市内に自らの住まいを新築しました。こうして愛媛県松山は、板倉氏にとって物理的、精神的な「終の棲家」となったのです。

定年後も現役として

松山放送局でアナウンサーとしての定年を迎えましたが、板倉氏の放送人としての活動はそこで終わりませんでした。定年後も嘱託職員としてNHKでの勤務を続け、その後2013年度（平成25年度）からは、長年の経験と知識を活かす「シニアスタッフ」という立場で、引き続きニュース番組を中心に担当しました。2015年（平成27年）以降は、同じくシニアスタッフの掛川雅夫氏と共に、主にラジオ放送でのニュース読みなどを担当しており、ベテランならではの落ち着いた語り口で、地域の最新情報を届け続けています。愛媛県や四国地方のリスナーにとって、彼の声は今もなお、地域に根差した信頼できる情報源として認識されています。

趣味とアナウンサー活動

板倉氏は、趣味人としても知られています。特に俳句と将棋は、彼の公私の両面で重要な要素となりました。これらの趣味に対する深い造詣は、アナウンサーとしての活動にも活かされ、過去には自身の趣味に関連するテーマの番組を担当する機会にも恵まれました。趣味の世界で培われた感性や知識を仕事に繋げることで、より深みのある、個性的な放送が実現できたと言えるでしょう。

主な担当番組一覧

これまでに板倉氏が担当した主な番組は以下の通りです。

現在の担当番組

• - 愛媛県・四国地方のラジオニュース

過去の担当番組

• - FMリクエストアワー
• - あおもり630
• - 各種将棋戦中継
• - 俳句王国

板倉卓人氏は、全国各地で活躍したアナウンサーでありながら、特定の地域、すなわち愛媛県松山の地と深く結びつき、人生の最終章の舞台と定めました。長年の放送経験を生かし、シニアとなった現在も、地元に根差した情報発信を担い、地域社会に貢献し続けています。

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