板橋競馬場

板橋競馬場の歴史

板橋競馬場（いたばしけいばじょう）は、かつて東京府北豊島郡板橋町に位置していた競馬場であり、1908年から1910年までの短い期間にわたって開催が行われました。この競馬場は、馬券黙許時代を背景に設立され、東京ジョッケー倶楽部がその運営を担っていました。

設立と開催初期

明治時代の日本では、馬券を伴う競馬は横浜競馬場のみで行われていましたが、馬匹改良のための声が高まり、競馬場の設立が急務となりました。1906年に東京競馬会が設立し、池上競馬場がオープンし、その成功を受けて全国各地で競馬場の建設が進むことになります。板橋競馬場の設立計画は、1907年に東京ジョッケー倶楽部が認可を受けたことに始まります。

第一回開催

板橋競馬場での最初の競馬は、1908年の春に行われました。初開催は3回にわたり、合計で11日間実施されました。しかし、初回から雨に見舞われるなどの悪 conditions スの中で、競馬は泥だらけの状態で行われ、観客は泥にまみれるという非情な状況でした。この時期に登場した八百長の疑惑が後に競馬場全体の評判を悪化させることになります。

競馬場の劣悪な環境

板橋競馬場の施設は整っておらず、馬見所や厩舎は粗末なものでした。観客が使用する席は軋みがひどく、馬券売り場なども不備が目立ちました。また、競馬場のコースは雨によって泥濘化し、スタート方式も不正の温床となり、勝たせたい馬を意図的に有利にスタートさせる手段として利用されていました。

八百長と不正

競馬開始早々から八百長の疑惑が持ち上がり、特に東京ジョッケー倶楽部の会員や馬主が中心となって不正行為を行ったことが競馬雑誌によって非難されました。中には、同じレースに自身の持ち馬を複数出場させ、意図的に負けさせるような操作が行われたとされています。これらの行為は社会に広まり、競馬に対する信頼を著しく損なう結果を招いてしまいました。

マスコミの批判と競馬場の終焉

競馬の不正が明らかになるにつれ、新聞や雑誌は競馬を強く批判し、社会的な風潮は競馬自体を否定的なものとして扱うようになりました。1908年10月には馬券の禁止が決定され、この結果、板橋競馬場はその運営を続けることができなくなり、結局1910年には廃止されることとなりました。

板橋競馬場の後

板橋競馬場の跡地には、1913年には牧場が移転しましたが、都市化が進む中で閉鎖され社会に消えていきました。この競馬場は短期間であったものの、日本競馬の歴史において重要な一幕を演じた存在であり、後の競馬が抱える問題点を先取りしていた事例とも言えるでしょう。

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