林五十美

富山県に生まれた林五十美氏は、1978年9月16日生まれの元バスケットボール選手です。愛称は「イソミ」として親しまれ、ポジションはセンターフォワード。同世代には後に日本バスケットボール界を牽引する多くの選手がおり、「花の78年組」の一人として数えられています。

彼女のキャリアは、バスケットボールの名門校として知られる名古屋短大付高校で華々しくスタートしました。在学中、チームはインターハイ3連覇という歴史的な偉業を含む、数多くの全国タイトルを獲得。林氏自身もその中心メンバーとして活躍し、早くからその才能が注目されました。さらに、高校在学中にジュニア日本代表にも選出され、1997年のジュニア世界選手権に出場するなど、世界の舞台でも経験を積みました。

高校卒業後、林氏は日本リーグ2部に所属する積水化学に入社しました（1997年）。ここでもすぐに頭角を現し、全日本代表にも選ばれるほどの活躍を見せましたが、所属チームは1999年に廃部という不運に見舞われます。しかし、彼女のキャリアはここで途絶えることなく、同年にWIリーグの日立那珂（後に日立ハイテクへチーム名変更）へと移籍しました。日立ハイテクでは、チームのWIリーグから国内最高峰であるWリーグへの昇格に大きく貢献し、再び中心選手として活躍しました。

2006年、林氏は国内屈指の強豪チームであるJOMO（現ENEOSサンフラッカーズ）に移籍しました。JOMOは当時、2年連続でタイトルを逃しており、チーム再建の鍵を握る存在として、林氏には大きな期待が寄せられました。移籍初年度の2006-07シーズンは、主にベンチからの出場ながら、その経験と勝負強さでチームを支え、見事に王座奪還に貢献しました。続くシーズンもチームに欠かせない存在として活躍し、特に2008-09シーズンには全試合にスターターとして出場。攻守にわたりチームを牽引し、再びタイトル獲得に貢献するなど、JOMOの黄金期を支える重要な役割を果たしました。

日本代表としては、高校時代のジュニア日本代表としての経験に加え、1997年の東アジア大会にも出場するなど、国際舞台でも日の丸を背負いました。

2010年、長年にわたる現役生活にピリオドを打ち、コートを去りました。引退後、彼女は指導者の道に進みます。積水化学、そして日立ハイテク時代に師事した梅嵜英毅氏が監督を務める山梨学院大学女子バスケットボール部のアシスタントコーチに就任。自身が培った豊富な経験と技術を、次世代を担う若い選手たちに惜しみなく伝え、後進の育成に力を注いでいます。

林氏のキャリアを通して、恩師である田邉広子氏（名古屋短大付高・積水化学時代）や、高校の同期であり同じ時期に日立ハイテクからJOMOへ移籍した山田久美子氏など、多くの指導者やチームメイトとの出会いがありました。特に山田久美子氏とは、高校、積水化学、そしてJOMOと、キャリアの重要な時期を共に過ごした盟友と言えるでしょう。

高校時代の圧倒的な実績から始まり、実業団複数チームでの活躍、そして国内最高峰のJOMOでのタイトル獲得への貢献、さらには日本代表としての経験。センターフォワードとしてチームの勝利に貢献し続けた林五十美氏は、まさに日本の女子バスケットボール界において一時代を築いた選手の一人と言えるでしょう。現在は指導者として、新たな形でバスケットボール界への貢献を続けています。

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