林亮勝

林亮勝（はやし りょうしょう）

日本の歴史学者であり、元大正大学学長。専門は江戸時代政治史で、日朝文化交流協会理事長も務めた。

生涯

1927年3月4日、東京都練馬区の真言宗豊山派寺院、長命寺の長男として誕生。1950年に大正大学文学部史学科を卒業後、東京都立小松川高校定時制教諭となる。1961年、旧東京都立大学大学院を修了。その後、大正大学講師、助教授を経て、1975年に教授に就任。1981年には文学部長、1990年には学長に就任し、1994年に退任した。

社会活動

小松川高校教諭時代には、教え子が被害者となった小松川事件で、死刑判決を受けた在日韓国人少年の助命嘆願運動を呼びかけた。また、金嬉老事件では、元服役囚である金嬉老の仮出獄時に身元引受人となった。

北朝鮮との関わり

日朝文化交流協会では、1975年に初代理事長の高木健夫とともに北朝鮮を訪問し、金日成と会見。その後も、北朝鮮を度々訪問し、朝鮮総連の大会にも出席するなど、北朝鮮との親密な関係を続けた。1990年には理事長に就任し、1991年には北朝鮮の工作機関と指摘される朝鮮対外文化連絡協会との間で交流促進の合意書に調印。金日成や金正日を礼賛する発言も行っていた。

主な発言

朝鮮総連について
「朝鮮総連の活動家のみなさんと、親しくお付き合いしてすでに久しい。いつでも彼らは骨身を削って、理想に燃えて働いている。厳しい、つらい毎日が続く。それでも決して明るさを失わない。終生の友人を何人も得た。彼らとの交流を通じて、朝鮮総連への理解を深めることができた。そういうすばらしい人たちが支えている組織が朝鮮総連なのである」（1990年5月、朝鮮総連結成35周年に際し）
金正日について
「気にかけて頂いてうれしく思います。様々な困難を乗り越えて、総書記がお元気で、人民と共に歩んでいくことを心より祈っております」（1997年、70歳の誕生日の際に金正日から花瓶と人参酒を贈られて）
万景峰号について
「情勢が複雑な今、志のある人を集め、この雰囲気を作るきっかけとなっただけでも、この船は『親善大使』としての役割を果たしたと思う」（1997年6月2日、万景峰号横浜初入港の船長招待宴で）
日朝関係について
「夕べ、野菜を切っていて、指を切ってしまった。たいした傷ではないが痛い。私たち日本人は、朝鮮のみなさんに（植民地支配という）大きな傷をつけてしまった。だが、後ろ向きにだけ考えていては駄目だ。村山元首相が日朝関係改善のために奮闘すると力強く述べたのを、金日成主席が生前、『正義は必ず勝つ』と語ったことと重ね合わせながら聞いた」（2000年5月21日「朝鮮総連結成45周年中央大会」でのあいさつ）
拉致問題について
「国交正常化するためには、戦争責任と植民地支配をきちんと謝罪し賠償することです。拉致疑惑などを交渉の前提にすべきではありません。たとえ拉致が事実だったとしても、国の意志としてそんなことをするはずはありません。日本は国家の政策として軍国主義のもとに朝鮮人を何十万人も拉致（強制連行）してきました。拉致疑惑を交渉の前提とはせず、正常化交渉が軌道に乗った後で、未解決問題として話し合うべきでしょう」（月刊『日本の進路』2000年9月号）

家族

長男の林隆夫は、国学院久我山高校野球部時代に第51回選抜高等学校野球大会に出場。元全日本女子バレーボール代表選手の中田久美の元夫。

死去

2008年12月23日、胆管癌のため東京都練馬区の自宅で死去。

著書

『徳川氏と江戸幕府の臨界』（人間舎、2003年）
『江戸時代あれこれ』（人間舎、2004年）
『歴史から学ぶ―エッセイ 』（人間舎、 2005年)

関連項目

日朝文化交流協会
柳沢徳次
小松川事件
金嬉老事件
* 中田久美

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