胆管癌

胆管癌（Cholangiocarcinoma）

胆管癌とは、胆管という肝臓から胆汁を十二指腸に運ぶ管に発生する悪性腫瘍です。胆管は肝臓内の細い枝から始まり、次第に集まり、左肝管と右肝管という二つの主要な管となります。これらは肝門部で合流し、総肝管となって膵臓の後を通り、最終的に十二指腸へ開口します。胆管癌はこの胆管のいずれの部分にも発生するものですが、部位により性質や最適な治療法が異なります。

病態と分類

胆管癌は、主に胆管上皮から発生し、成長するにつれて胆管を徐々に狭窄させ、最終的には胆汁の流れを妨げるため、黄疸や胆管炎を引き起こします。進行した場合は、膵臓や近隣の臓器に浸潤したり、リンパ節や肝臓に転移することがあります。

胆管癌は、発生部位に基づいて以下のように細分類されます：

• - 肝内胆管癌：肝臓内の胆管に発生
• - 肝外胆管癌：肝管および総胆管に発生（本項で重点的に解説）
• - 乳頭部癌：乳頭部胆管に発生

疫学と危険因子

日本においては、厚生労働省のデータに基づけば2005年の胆管癌による死亡者数は16,586人。リスク要因となるのは、胆石症や胆管炎、膵胆管合流異常症などの胆道疾患に加え、潰瘍性大腸炎やクローン病も含まれます。また、1,2-ジクロロプロパンやジクロロメタンといった有機溶剤への曝露も癌の発症に関連付けられています。

主な症状

胆管癌の初期段階では、食欲不振や全身倦怠感、腹痛の他、黄疸が見られることがあります。これらの症状は、時には検診で肝機能障害として指摘されることも多いです。

診断法

胆管癌の診断には、いくつかの検査が用いられます。

1. 血液検査：ビリルビンや胆道系酵素、腫瘍マーカー（CEA、CA 19-9）などの上昇が観察されます。
2. 画像検査：超音波検査やCT、MRIを用いて胆道の状態や癌の有無を評価します。
3. 胆道造影（PTCやERC）および胆道鏡を用いた検査によって、胆管内の腫瘍の特定が行われます。

治療法

胆管癌の治療には、主に外科手術が選択されます。癌が胆管周囲に限局している場合、この手術により根治が期待できますが、転移や浸潤が見られる場合は、全身化学療法や放射線療法が代わりに行われることもあります。特に、強い黄疸が認められる場合には、ドレナージを行って症状を軽減する対症療法が行われます。

手術の方法は癌の位置に応じて異なり、肝門部胆管癌であれば大規模な肝切除が基準になります。これに対し、下部胆管癌の場合は膵頭十二指腸切除が必要となることがあります。

放射線療法と化学療法

手術が困難なケースにおいては、放射線療法が補助的に行われます。また、進行した胆管癌に対しては化学療法も併用され、治療効果を高めます。

予後

治療が困難なこの癌の5年生存率はおおよそ30%から50%ですが、切除不能な進行胆道癌の場合の生存率は極めて低いです。

まとめ

胆管癌はその性質上、診断や治療に難航することが多いため、早期発見と専門的な医療が重要とされます。また、過去には著名な人物もこの病に罹った方が多く存在し、社会的な関心も高まっています。

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