林崎新夢想流

林崎新夢想流（はやしざきしんむそうりゅう）について

林崎新夢想流は、主に東北地方で受け継がれる居合の流派です。この流派の創始者は林崎甚助であり、その後、田宮平兵衛、長野無楽斎、一宮左太夫、そして谷小左衛門と続く名家によって伝承されてきました。特に、弘前藩系統は「神夢想林崎流」とも呼ばれています。

歴史の流れと多様性

新庄藩内では、谷小左衛門の弟子である駒杵良重と、常井直則の系統が存在していました。常井直則は新庄藩から弘前藩に移ったため、弘前藩にも常井系の林崎新夢想流が伝わりました。この流派は、水戸藩でも継承され、なかには一宮流として知られるものもありました。また新庄藩に伝わった系統において、幕末には江戸の窪田清音の道場で修行していた新庄藩士・北条勘平がこの流派の技を使い、当時の剣士・大石進に勝利したとされています。

流派の特徴

林崎新夢想流は、標準的に刃長が約1メートルの長い刀を用いて修行します。この流派は、現存する林崎系の居合流派の中で原型に最も近いとされており、刀の長さや技の形は、師からの伝書に忠実に伝承されています。特に、二人組で相手をつけて稽古をする点が特徴であり、これによってより実戦に近い技術が鍛えられます。

流派の座法については、主に跪坐のスタイルから片膝を立てる「趺踞」が用いられ、ここからの技が多くの形に派生します。この形態から始まる技は、極めて接近した状態から行われ、その際には無駄な動作が省かれ、純粋な稽古法が実践されます。また、「元居合は間の内脇刺の勝なり」という言葉に象徴されるように、脇差と大刀とを使い分け、鍛錬することで両方の武器を効果的に使用できるように意識されています。

技法と表次第

この流派の技法は、表次第とも呼ばれ、居合の根源である基本的な技が含まれています。特に重要な七本の型は、他の藩によっても伝承されています。

1. 押立
2. 押抜
3. 防身
4. 除身
5. 幕越
6. 胸刀
7. 頭上

さらには、右身、左身など多様な技法も存在し、藩によって伝え方は若干異なります。この多様性は、流派の発展と長い歴史の証でもあります。

現在の状況と伝承

現在、林崎新夢想流は新庄藩から伝えられた系統が奥山観禅によって「林崎夢想流」と名乗り、伝承されています。この系統は日本古武道協会に加盟しています。一方、弘前藩で伝えられた系統では、笹森順造と寺山竜夫がそれぞれ別の流派名を名乗り、研究や稽古が続けられています。これらの流派は、稽古の場ともなっている道場で伝承されており、先代から受け継がれる技術が現在も生かされています。

林崎新夢想流は、その深い歴史と高い技術、そして堅実な伝承を通じて、今なお多くの人々に学ばれ続けています。

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