林崎甚助

林崎甚助の生涯とその影響力

林崎甚助（はやしざき じんすけ、1542年？ - 1621年）は、戦国時代から江戸時代の前期にかけて活躍した著名な武芸者であり、居合（抜刀術）の始祖とされています。彼の旧名は浅野民治丸であり、源氏の出身で、本姓は林崎、通称として甚助と呼ばれました。生年については諸説ありますが、1548年とも言われています。

彼の武道の源流

林崎甚助が開いた流派は、神夢想林崎流、林崎流、林崎夢想流などのさまざまな名称で呼ばれますが、彼自身が生前に流派名を名乗ったという記録はありません。この流派は後の時代に多くの分派を生むことになり、無双直伝英信流や民弥流、水鴎流といった流派に至っては、林崎甚助から派生した系譜に位置付けられています。そのため、彼の教えを受けた弟子たちが数々の新たな居合の技術を創出したという事実が、彼の影響力の大きさを示しています。

現代においても、古流の武道を語る際、林崎甚助の存在は欠かせないものとなっており、彼の名は必ず引き合いに出されます。そのため、彼の影響は未だに色あせていないと言えるでしょう。

生涯の詳細

林崎甚助の生年については不明ですが、1544年に生まれた可能性が高いとされています。出羽国の楯山林崎（現・山形県村山市林崎）で生まれた彼は、父親の浅野数馬から武道の基礎を学びました。しかし、1547年に父が恨みを買い、闇討ちに遭ったことで、甚助は仇を討つことを決意します。この仇討ちのために、彼は楯岡城の武芸師範である東根刑部太夫のもとで武術の修行に励みました。

1559年、林崎は林の明神に百日間参籠し、父の仇である坂上主膳を討つことを誓いました。この願掛けの結果、林の明神から「抜刀の秘術卍抜」を授けられ、彼は遂に1561年に仇討ちを果たすことになります。この出来事は彼の武道人生における大きな転機となり、それ以降、各地を巡りながら武術の修行を続けていきます。

その後、林崎甚助は多くの弟子を育て、彼らにも自身の流派の教えを伝えました。特に、加藤清正をご指導したという伝承もあり、名を馳せた武芸者としての評判を得ていきます。さらに、彼は塚原卜伝からも「鹿島新当流最高秘伝天下第一之剣」を授かり、その後の人生において多大な影響を受けたとされています。彼の武技は数多くの流派に受け継がれ、剣術の体系の中で重要な位置を占めています。

晩年とその精神

晩年の彼は山形に住み、慶長年間を過ごし、最終的には故郷で生涯を閉じたとされています。林崎甚助の弟子たちには、田宮重正や長野無楽斎、関口氏心、片山久安、甘粕景持などが名を連ね、このような面々からも彼の教えが広がっていきました。また、仇討ちの帰り際には、信国の太刀を奉納されたとも伝えられ、林崎甚助を祀る林崎居合神社が現在存在していることからも、その存在感は現在まで続いています。

結局、林崎甚助は剣術の発展に多大な貢献をし、その流派と教えは時代を越えて伝えられることとなりました。彼の教えと精神は、多くの武士や武道愛好者たちによって今も息づいています。

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