林恭

林恭（生年不詳 - 1853年）は、清朝統治時代の台湾、鳳山出身の反清武装闘争の指導者です。

1853年、太平天国が南京を拠点とすると、小刀会が呼応して漳州を攻撃するなど、清朝は次第に福建地区での統治権を失いつつありました。この時期、台湾では李石や林恭らによる小規模な反清活動が各地で発生しました。

1853年4月、李石は太平天国の「興漢滅満」のスローガンに賛同し、民衆を集めて湾裡街（現在の台南市善化区）を攻撃し、台湾知県の高鴻飛を殺害しました。鳳山県署に従軍していた林恭は、この事件を知ると、以前から不仲であった知県の王廷幹への不満も重なり、4月28日に王廷幹に不満を持つ鳳山県民を集め、鳳山城を攻撃し、知県を殺害しました。鳳山城が陥落すると、林恭は県令に擁立されました。

その後、林恭は5月2日に台南城を攻撃しようと試みましたが、清軍の反撃に遭い失敗しました。6月2日、清軍と林恭は二層行渓（現在の台南市仁徳区）および新園郷で交戦し、敗れた林恭は鳳山へと逃れました。6月7日、清軍による鳳山城への攻撃が行われると、林恭は鳳山付近の東港へ逃亡し、その地で長期戦の構えを見せました。しかし、7月27日に清軍に逮捕され、李石と共に斬殺されました。

林恭の蜂起は短期間で鎮圧されましたが、当時の清朝に対する台湾民衆の不満の強さを示す一例と言えるでしょう。太平天国の影響下、各地で反乱が頻発した当時の社会情勢を背景に、林恭は民衆の支持を得て一時的に勢力を拡大しましたが、最終的には清朝の軍事力によって鎮圧されました。彼の行動は、清朝統治下の台湾における抵抗の歴史の一幕として記憶されています。

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