林時彦

林時彦：丹波市長の経歴と5万円給付問題

1954年生まれの林時彦氏は、日本の政治家であり、兵庫県丹波市長として1期務めました。丹波市議会議員を3期経験したのち、2020年に行われた市長選挙で初当選という経歴を持ちます。

教育とキャリア

兵庫県春日町（現・丹波市春日町黒井）で生まれた林氏は、地元の小学校、中学校を経て兵庫県立柏原高等学校を卒業。その後、明治大学商学部に進学し、1979年に卒業しました。卒業後は林建設に入社し、1994年には同社の代表取締役に就任しています。企業経営に携わった経験が、後の政治活動の基盤となったと言えるでしょう。

市議会議員から市長へ

2008年、林氏は丹波市議会議員選挙に立候補し、初当選を果たします。市議会議員として3期に渡り活動し、2018年には議長に就任。市政運営の中枢を担う立場を経験しました。

2020年9月、林氏は丹波市長選挙への立候補を表明し、同日議長を辞任。同年の11月に行われた市長選挙では、「市役所統合庁舎整備計画の凍結」と「全市民への5万円給付」を公約に掲げました。この5万円給付案は、市が積み立ててきた庁舎整備事業基金約22億3400万円を主な財源とする計画でした。選挙戦では、自民党・公明党の推薦を受けた現職の谷口進一氏、元県職員の岩崎政義氏らを破り、見事初当選を果たしました。当日有権者数は52,902人、最終投票率は65.35%でした。

5万円給付公約とその後

林氏の5万円給付公約は、選挙戦において大きな注目を集め、当選の大きな要因となりました。しかし、当選後、状況は大きく変化します。2021年1月5日、林氏は新型コロナウイルス感染症の第3波の発生を踏まえ、「全市民への5万円給付」を「商品券2万円」に変更すると発表しました。これは、今後の感染症対策や市政運営に必要な財源を確保する必要があるという判断に基づいたものでした。

この変更発表は、市民や市議会から大きな反発を招きました。同年1月13日に行われた市議会一般質問では、林氏の説明に疑問が呈され、議事進行が一時中断する事態も発生。1月19日には、商品券交付事業を含む一般会計補正予算案が市議会で否決されました。賛否同数となり、議長の裁決によって否決が決定したのです。この決定により、事業に充てる予定だった国の地方創生臨時交付金約3億5千万円は、年度内に別途事業化しなければ国に返還されることになりました。

その後も、林氏は商品券配布に向けた取り組みを続けましたが、6月2日に提出された、世帯を限定した商品券配付に関する議案も否決される結果となりました。

まとめ

林時彦氏の市長在任期間は、5万円給付問題を中心とした波乱の連続でした。選挙公約の変更、市議会での否決、そして財源確保の問題など、多くの課題が浮き彫りとなりました。この経験は、今後の地方自治体における政策決定プロセスや、公約実現の難しさについて、改めて考える契機となったと言えるでしょう。林氏の経歴と5万円給付問題に関する経緯は、地方政治の複雑さと、市民の期待と現実の乖離について示唆に富む事例として注目されます。

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