林玲子

林玲子（はやし れいこ）

日本の経済史学者であり、流通経済大学名誉教授。専門は日本経済史、特に近世（江戸時代）の商業史と女性史です。1930年2月5日に東京で生まれ、2013年8月29日に83歳で亡くなりました。

学歴と職歴

1951年に東京女子高等師範学校理科物理選修を卒業後、1955年に東京大学経済学部を卒業。その後、1965年に同大学院経済学研究科博士課程を単位取得満期退学し、1967年に「江戸問屋仲間の研究」で経済学博士号を取得しました。流通経済大学では助教授、教授を歴任し、2001年に定年退任、名誉教授となりました。

研究内容

林玲子の研究は、江戸時代の経済構造、特に問屋制度や市場の仕組みに焦点を当てています。彼女の著書には、江戸時代の商業活動や人々の生活、女性の役割に関する詳細な分析が含まれており、当時の経済社会の実態を深く理解するための重要な資料となっています。また、醤油の歴史など、特定の産業分野に関する研究も行い、多角的な視点から経済史を捉えようとしました。

主な著書

『江戸問屋仲間の研究 幕藩体制下の都市商業資本』（御茶の水書房、1967年）
博士論文を基にした著作で、江戸時代の問屋制度を詳細に分析したものです。
『江戸店犯科帳』（吉川弘文館、江戸選書、1982年）
江戸時代の商家における犯罪を取り上げた、ユニークな視点を持つ著作です。
『近世の市場構造と流通』（吉川弘文館、2000年）
近世日本の市場構造と流通システムについて、詳細に分析した研究書です。
『江戸・上方の大店と町家女性』（吉川弘文館、2001年）
江戸と上方における商家の女性たちの生活や役割について考察したものです。
『江戸と上方 人・モノ・カネ・情報』（吉川弘文館、歴史文化ライブラリー、2001年）
江戸と上方における人、物資、お金、情報の流れを考察したものです。
『江戸店の明け暮れ』（吉川弘文館、歴史文化ライブラリー、2003年）
江戸の商家の日常生活を詳細に描いたものです。
『関東の醤油と織物 18〜19世紀を中心として』（吉川弘文館、2003年）
関東地方における醤油と織物の産業史を扱ったものです。

共編著

『醤油醸造業史の研究』（編、吉川弘文館、1990年）
醤油醸造業の歴史をまとめたものです。
『日本の近世 第5巻、商人の活動』（編、中央公論社、1992年）
近世日本の商人の活動を扱ったシリーズの一部です。
『日本の近世 第15巻、女性の近世』（編、中央公論社、1993年）
近世日本の女性の歴史をまとめたものです。
『新書・江戸時代 5、流通列島の誕生』（大石慎三郎共著、講談社現代新書、1995年）
江戸時代の流通システムを解説したものです。
『近世・近代の南山城 綿作から茶業へ』（石井寛治共編、東京大学出版会、東京大学産業経済研究叢書、1998年）
南山城における産業構造の変化を扱ったものです。
『白木屋文書問屋株帳』（石井寛治共編、るぼわ書房、1998年）
白木屋の文書を分析したものです。
『東と西の醤油史』（天野雅敏共編、吉川弘文館、1999年）
東西の醤油の歴史を比較研究したものです。
『白木屋文書諸問屋記録』（谷本雅之共編、るぼわ書房、2001年）
白木屋の問屋に関する記録を分析したものです。
『日本の味醤油の歴史』（天野雅敏共編、吉川弘文館、歴史文化ライブラリー、2005年）
日本の醤油の歴史を解説したものです。

参考文献

* 『江戸問屋仲間の研究』著者紹介

林玲子の研究は、江戸時代の経済と社会を理解する上で欠かせないものです。彼女の業績は、今後の研究においても重要な基盤となるでしょう。

もう一度検索