枝肉格付

枝肉格付とは

枝肉格付（えだにくかくづけ）とは、牛肉や豚肉などの枝肉（えだにく）の取引を公正に行うために、各国で定められた格付け規格のことです。この格付けは、枝肉の品質を評価し、価格設定や生産・流通の合理化に貢献しています。

日本の枝肉格付

日本では、1962年に農林水産省の指示により食肉中央卸売市場で始まり、現在では地方卸売市場や食肉センターでも実施されています。市場に出回る枝肉の約8割が格付けされており、これは年間で牛肉約90万頭、豚肉約1200万頭に相当します。格付けは日本食肉格付協会が行い、その規格は農林水産省畜産局長の承認を経て定められます。

格付けは、枝肉の適正な価格設定や生産、流通の合理化に貢献しており、格付の結果は育種改良や飼育管理の改善に役立てられています。

牛肉の格付規格

牛肉の格付けは、歩留まりと肉質の2つの要素に基づいて行われます。

歩留まり: A、B、Cの3ランクに分けられ、Aランクは部分肉の歩留が標準以上、Bランクは標準、Cランクは標準以下とされます。
肉質: 脂肪の交雑、肉の色沢、肉のしまりときめ、脂肪の色沢と質を基準に、5（かなり良い）から1（劣る）までの5段階で評価されます。

これらの組み合わせにより、牛肉は15段階で格付けされます。特に「A5ランク」は高級な牛肉として知られていますが、これは歩留まりがAランクで、肉質が5段階評価で全て5であるという意味であり、必ずしも味が最高であるとは限りません。

豚肉の格付規格

豚肉は、外観と肉質を基準に、極上、上、中、並、等外の5段階で格付けされます。

ラムの格付規格

ラム（子羊）の格付けは、日本緬羊協会が1997年に制定した規格に基づいて行われます。枝肉重量と背脂肪厚の組み合わせで15段階の規格となり、上、中、並、等外の4等級に格付けされます。

日本以外の国での格付

枝肉の格付けは日本だけでなく、多くの国で行われています。

オーストラリア

オーストラリアでは、チラーアセスメント（Chiller Assessment）とミート・スタンダード・オーストラリア（Meat Standards Australia, MSA）の2つの主要な格付けシステムがあります。MSAは、消費者の嗜好性に重点をおいた格付け方法であり、食味試験の結果に基づいて評価されます。

アメリカ合衆国

アメリカでは、アメリカ合衆国農務省・農業マーケティング局が格付けを実施しており、去勢牛、未経産牛は8等級、経産牛は7等級、若齢雄牛は5等級に分類されます。歩留まりと肉質の格付けが行われます。

EU

EUでは、枝肉の形態（筋肉の発達具合）と脂肪の付着具合を基準に格付けが行われ、肉質は評価の対象となりません。加盟国ごとにさらに細分化された等級が用いられることがあります。自動格付けを採用している国もあります。

タイ王国

タイでは、2004年に農業・協同組合省国家農産品・食品規格事務局が規格を定めました。

アルゼンチン

アルゼンチンでは、1991年まで牛肉国立委員会が格付けを行っていましたが、その後、食肉処理加工業者の職員が格付けを行うようになりました。格付けは、歩留まりと脂肪等級の組み合わせで行われます。

まとめ

枝肉格付は、食肉の取引を公正にし、品質を保証するための重要な仕組みです。各国で異なる基準が用いられていますが、いずれも食肉の価格設定や品質管理に役立っています。

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