枢密院 (イギリス)

枢密院とは

枢密院（すうみついん、英: Privy Council）は、イギリスの国王に助言を行う重要な諮問機関です。正式名称は「国王陛下の最も高潔なる枢密院」といいます。枢密院は国政に関する助言を行い、国王大権の行使にかかわる重要な役割を担っています。

歴史

枢密院の起源は、遺伝的に中世の国王の諮問会議であったキュリア・レジスにまで遡ります。特に14世紀末、リチャード2世がまだ未成年であった時期に、摂政団としての機能が増し始め、15世紀初めには「Privy Council」として知られるようになりました。この時期、特にヘンリー6世の未成年期にはその権限が強化され、国政の中核機関として位置づけられるようになりました。

バラ戦争の影響で枢密院は一時衰退しましたが、テューダー朝の成立とともに再び重要な機関として機能し、司法にも影響を及ぼすようになりました。特にエリザベス1世の時代には、その統治の中心としての役割を確立しています。

しかし、ステュアート朝期に清教徒革命が起きた際には、枢密院は一時的に廃止され国務会議がその役割を引き継ぎました。しかし1660年の王政復古によって再び復活しました。この時期、枢密顧問官の数が増加し、行政の実際的な取り扱いは委員会に委ねられることが多くなりました。1679年にはチャールズ2世がその状況を正式に宣言し、ここで内閣（Cabinet）の起源が生まれました。

構成と機能

現在の枢密院は、約400人の枢密顧問官から構成されています。国王は首相の推薦に基づいてこれらの顧問官を任命します。主に主要閣僚や法曹高官、国教会の大主教などが選出されるほか、コモンウェルス諸国からも政治家が任命され、枢密院はコモンウェルス統合の象徴的な機関としての役割を持っています。

枢密院の議長は内閣の閣僚職の一つであり、与党がこれを務めるため、内閣の意向と枢密院の助言に大きな違いは見られません。また、枢密院は月に一度程度の頻度で会議を開催し、重要な議題が議論されます。会議は通常、3人以上の顧問官が召集される形式で行われますが、全ての顧問官が集まることは稀です。

権限

枢密院は議会の召集や解散、宣戦布告に関する助言を行い、これらは国王大権として位置づけられています。また、首相の任命についても慣習的に枢密院に諮問されます。イギリスでは法人格の授与も枢密院を通じて行われ、特に高等教育に関する王権は枢密院が管理しています。
このようにして、枢密院は長い歴史の中で産まれた重要な機関であり、イギリスの政治制度に深く根付いています。

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