柏 (春秋)

柏（はく）は、周代に存在した弱小な諸侯国の一つです。現在の河南省漯河市舞陽県三里河の南に位置していたとされています。この地域は、当時強大な勢力を誇っていた楚の影響下にありました。しかし、春秋時代の斉の桓公の時代には、江・黄・道といった他の小国と同様に、斉と和睦関係を結び、一時的に楚の圧力から逃れることができました。

しかし、この平和も長くは続かず、柏は最終的に楚によって滅亡することになります。具体的な滅亡年については、歴史資料が不足しているため、はっきりと特定されていません。

柏の起源と伝承

柏国に関する伝承では、その起源を古代にまで遡ることができます。伝説によれば、柏国は古代中国を支配したとされる伝説上の氏族、柏皇氏の末裔が治めた国とされています。柏皇氏は、元々現在の駐馬店市西平県南部に位置する柏城を根拠地としており、風姓を名乗っていたと伝えられています。

柏皇氏は、大庭氏の不十分な災害対応による廃位後、人々に推戴され、4代156年にわたり統治しました。しかし、異民族の侵入や相次ぐ災害に対応することができず、4代帝佘蓄（しゃちく）の死後、中央氏が後を継ぎ、柏皇氏による統治は終わりを迎えたとされています。

柏皇氏の移動と史実との関連

柏皇氏に関する記述は、伝説上の存在であり、『晋紀』などの一部の資料にしか見られないため、その実態については不明な点が多く残されています。しかし、もし柏国の先祖に関する伝承が事実であれば、柏皇氏が元々の根拠地から少し北に移動した可能性を示唆しています。

これらの伝承は、柏国という国が、非常に古くからこの地域に存在し、長い歴史の中で様々な変化を経験してきたことを示唆していると言えるでしょう。

参考文献

楊伯峻《春秋左伝注》
翼城大河口覇国族属初探

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