柏崎市佐藤池野球場

新潟県柏崎市の佐藤池運動広場内に位置する野球場。施設は柏崎市が所有しており、運営管理は指定管理者である柏崎市観光レクリエーション振興公社が行っています。

建設までの経緯

かつて柏崎市街地には、県立柏崎高校のグラウンド（通称「柏高球場」）と、1964年の国民体育大会に合わせて建設された柏崎市民野球場の二つの野球場がありました。これらは主に高校野球などのアマチュア公式戦に使用されていましたが、海岸部に近い立地による老朽化が進んでいました。市は新たな野球場の建設を計画し、柏崎刈羽原子力発電所の建設に伴って国から交付された電源立地地域対策交付金の一部を活用することにしました。建設候補地として選ばれたのは、市街地南東部に位置する佐藤池新田地区です。この場所は、かつて「佐藤ヶ池」という池を埋め立てて造成された土地であったため、地盤の不安定さが懸念されました。しかし、市は他の候補地に比べて土地取得費が安価であること、そして地盤沈下はメンテナンスで対応可能であると判断し、この地での建設を進めることを決定しました。

開場と初期の出来事

こうして野球場は1986年11月に完成しました。翌1987年 5月23日には、球場にとって初のプロ野球公式戦となるパ・リーグの南海ホークス対ロッテオリオンズ戦が開催され、これが球場開きとなりました。しかし、この試合は前日までの雨の影響でグラウンド状態が悪い中で強行されました。開始が32分遅れた上、試合中にはさらに雨が強まり1時間の中断を余儀なくされ、グラウンドに土を運び込むなどの対応が行われました。このような状況下でも試合続行が目指されたのは、前売り券が既に完売していたためでした。照明設備が設置されていなかったことから、試合は午後5時44分、8回表一死無走者の場面で4対4の同点のままサスペンデッドゲームとなりました。サスペンデッドゲームのルールは2012年に廃止されたため、この試合は事実上、日本プロ野球における最後のサスペンデッドゲームとして記録されています。

アマチュア野球の公式戦として初めて使用されたのは、同年7月の夏の全国高等学校野球選手権新潟大会です。本球場はこの大会のメイン球場となり、開閉会式や準決勝以降の試合が行われました。その後もプロ野球や高校野球を含むアマチュア公式戦が開催されています。2007年からはベースボール・チャレンジ・リーグの新潟アルビレックス・ベースボール・クラブが公式戦を開催しています（2013年・2014年を除く）。

地盤問題と地震による被害

沼地を埋め立てたという立地条件のため、球場は完成以来、深刻な地盤沈下に継続的に悩まされてきました。さらに、2004年 10月23日に発生した新潟県中越地震では、液状化現象により球場内外で陥没や噴砂が発生し、フィールド全体が沈降して右側に大きく傾くなど、甚大な被害を受けました。市は、地震による被害とは別に、元々激しい地盤沈下によって良好なプレー環境を提供できなくなっていたことから、2005年から2006年にかけて球場を閉鎖し、地盤調査を実施しました。その上で、震災復旧も兼ねて地盤改良や外野の拡張など、大規模な改修工事を行いました。改修工事は2006年秋にほぼ完了し、フィールドは両翼98m、中堅122mに拡張され、アマチュア野球公認規格を満たすようになりましたが、照明設備の追加設置は見送られました。

2007年6月、改修完了を記念してプロ野球OBによるイベント「ドリームベースボール」が開催され、球場は本格的に供用を再開しました。改修完了に合わせて、新潟県高等学校野球連盟は同年7月の第89回全国高等学校野球選手権新潟大会で本球場をメイン球場として使用することを決定していました。これは3年ぶりに高校硬式野球の公式戦が本球場で行われることになります。市は大会を最良のコンディションで迎えるため、「ドリームベースボール」の後は芝生の養生を目的として、約1ヶ月間、一般利用の貸し出しを控えました。

大会は7月13日に開幕し、本球場でも開会式と一部試合が実施されました。しかし、7月16日、本球場で行われていた試合中に新潟県中越沖地震が発生しました。この地震により、フィールドが再び沈降・隆起し、スタンドの一部も損壊するなど被害が出ました。この試合は結局ノーゲームとなり、県高野連は球場の被害と周辺交通網の寸断、被災地の復旧優先などを考慮し、同日中に今後の試合で本球場を使用しないことを決定しました。大会自体も一時中断され、見附運動公園野球場や悠久山野球場（長岡市）が代替球場として使用されました。本球場のフィールドの被害は中越地震後に比べれば軽微であったため、市は地元関係者や高校野球部員の協力を得て仮補修を行い、8月には仮供用を再開しました。2009年にHARD OFF ECOスタジアム新潟が完成して以降、夏の高校野球新潟大会の決勝戦は同球場に固定され、佐藤池野球場での決勝戦開催は実質的に1987年のみとなりました。

また、野球場の右翼場外に隣接する佐藤池第二野球場は、中越沖地震の被災者向けに仮設住宅が建設され、一時的に野球場としての供用を停止しました。仮設住宅は復興公営住宅の整備進捗に伴い撤去され、第二野球場は2010年春に供用を再開しています。

特徴的なエピソード

1987年のサスペンデッドゲーム

1987年 5月23日の南海対ロッテ戦では、本来であれば中止すべき悪天候にもかかわらず、地元主催者である新潟日報社の関係者が開催を強く要望したため、審判団がそれに折れる形で試合が強行されました。この新潟日報社は、翌日の新潟市営鳥屋野野球場での試合でも同様に強行を試みたものの結局中止となり、観客が関係者に詰め寄る騒ぎとなりました。この二日間の出来事は、「営業優先主義」として日刊スポーツなどのメディアから痛烈な批判を浴びる結果となりました。佐藤池球場でのサスペンデッドゲームの続きは、次回両チームが対戦する7月7日に平和台球場で行われる予定でしたが、この日も雨で流れ、翌8日に実施され、南海がサヨナラ勝ちで決着しました。中断前の試合が地方球場で行われた場合の続行分は、原則として主催球団の本拠地で行われることになっていましたが、この例は続行分が地方球場で行われた実質初めてのケースとなりました。

谷繁元信のプロ初本塁打

1989年 5月27日に行われたヤクルト対横浜大洋ホエールズ戦で、当時大洋の新人捕手だった谷繁元信氏（後に横浜DeNA、中日）が、ヤクルトの尾花高夫投手からプロ公式戦での初本塁打を放ちました。試合後、谷繁氏は「この球場も、尾花さんも、一生忘れません」と語り、喜びを噛みしめました。谷繁氏はその後、中日移籍後の2009年には、新潟県出身の投手から記念となる本塁打を続けて放っており、新潟との不思議な縁が度々話題になりました。

施設概要

グラウンド面積：13,476m²
両翼：98m、中堅：122m
内野：クレー舗装、外野：天然芝
収容人員：15,000人（内野：6,400人（ベンチ席）、外野：8,600人（芝生））
スコアボード：パネル式
照明設備：なし

※ 2007年の改修前のフィールドは、グラウンド面積12,838m²、両翼92m、中堅120mでした。

柏崎市佐藤池第二野球場

竣工：1998年4月1日
両翼：92m、中堅：120m
内外野：全面クレー舗装
照明設備：なし
観覧設備：なし

※ 2007年8月から2010年3月末まで中越沖地震の影響で供用停止、同年5月供用再開。

運動広場内の主な施設

柏崎市佐藤池サッカー場
ゲートボールコート
柏崎市総合体育館

交通アクセス

JR信越本線茨目駅南口より南へ徒歩約10分
高速バス「柏崎バスストップ」・「柏崎インター」バス停より南へ徒歩約20分
越後交通「運動広場前」バス停より徒歩すぐ（JR柏崎駅南口発着の路線が一部運行）
北陸自動車道柏崎ICから車で約5分

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