柏木博

柏木 博（かしわぎ ひろし）

柏木博は、1946年7月6日に兵庫県神戸市で生まれ、2021年12月13日に逝去した日本のデザイン評論家です。彼は多くの著書を執筆するとともに、武蔵野美術大学の名誉教授としてデザインの学問に貢献しました。彼の研究領域は近代日本デザイン史、広告論、そして都市論にわたり、デザインを通じて近代社会を考察しました。

学歴と職歴

柏木は1970年に武蔵野美術大学の産業デザイン学科を卒業し、その後は自宅アパートでデザイン論やデザイン史の研究を開始しました。その後、編集者などの職を経て、1983年には東京造形大学で助教授に就任しました。1994年には勝見勝賞を受賞し、その後、文化庁の芸術選奨選考委員に任命されました。1996年には武蔵野美術大学に教授として着任し、近代デザイン史を教えました。2000年には文化庁メディア芸術祭の審査委員を務め、2017年には定年退職として名誉教授の地位を得ました。

主要な業績

柏木の著作物は数多くあり、その中には、『日用品のデザイン思想』や『「しきり」の文化論』、『日記で読む文豪の部屋』などがあります。彼の研究は、デザインの背後にある思想や文化の分析によって、我々の日常生活や社会構造を理解する手助けとなります。特に『道具の政治学』や『欲望の図像学』では、技術やデザインがどのように我々の欲望や社会的な文脈に影響を与えるかについて深く掘り下げています。

影響と活動

デザイン評論家としての柏木は、企業デザインアドバイザーとしても活動し、多くの企業や展示の監修を手がけました。また、情報を発信するメディアにも登場し、NHK総合の「ナイトジャーナル」などの番組に出演しました。彼の洞察は、デザインが単なる形や機能に留まらず、文化や社会との関連の中でどのように解釈されるかを示しています。

人物像と晩年

柏木は、批評家としての鋭い視点を持ち、学生や若いデザイナーたちに影響を与え続けました。彼はがんを患っていた期間中も、執筆や講義などを行っており、その姿勢は多くの人々に感銘を与えました。2021年、敗血症により逝去した際には、彼の妻が喪主を務めました。柏木の業績は、彼が残した著作や教育活動を通じて、今後も多くの人々に影響を与え続けることでしょう。

最後に

柏木博の仕事は、デザインの枠を越えて、我々が生活する文化的な背景を理解する手助けをしてくれました。彼の考察は、デザインがどのように我々の生活に影響を与えるかを考える上で、今後も重要な参考資料となるでしょう。彼の業績に触れることで、私たちの周りにあるデザインの重要性とその背後にある理念について、改めて考える機会を得ることができます。

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