柔道整復師養成施設

柔道整復師養成施設とは

柔道整復師養成施設とは、柔道整復師の国家資格取得を目指すための専門的な教育機関です。一般的には「柔道整復学校」や「ほねつぎの学校」とも呼ばれています。これらの施設は、柔道整復師学校養成施設指定規則に基づいて設立され、将来の柔道整復師を育成する重要な役割を担っています。

養成施設の形態と概要

柔道整復師養成施設には、主に以下の形態があります。

4年制大学
3年制短期大学
3年制または4年制の専門学校
その他（一部の各種学校、私設学校）

これらの施設は、学校法人によって運営されている場合が多いですが、財団法人、社団法人、医療法人などが運営しているケースもあります。入学資格は、高等学校卒業またはそれと同等以上の学歴が必要です。学費は施設によって異なりますが、3年制の専門学校の場合、3年間で400万～500万円程度が一般的です。

教育内容とカリキュラム

どの形態の養成施設でも、柔道整復術と一般医学の基礎知識の習得を目的とした教育が行われます。カリキュラムは、柔道整復師養成施設指定規則および柔道整復師養成施設指導要領によって詳細に定められています。大学や短期大学では、これらの規則・要領を参考に、大学設置基準に基づいてカリキュラムが編成されます。教員の資格についても同様の基準が適用されます。

認定実技審査

養成施設で学ぶ学生は、卒業年次に認定実技審査の受験が義務付けられています。この審査は、国家試験における実技試験の廃止に伴い、その代替措置として導入されました。財団法人柔道整復研修試験財団から派遣された認定実技審査員（学外審査員と自校審査員）によって、柔道整復実技と柔道実技の2科目が審査されます。審査結果は卒業判定に影響し、不合格の場合には卒業が認められないこともあります。

臨床実習

臨床実習は、柔道整復師養成施設指導要領に定められた重要な要素ですが、多くの施設では付属施術所に十分な人員を配置できず、満足のいく実習を実施するのに苦労しているのが現状です。現時点では、養成施設付属施術所以外の学外施設（教員資格を有する柔道整復師が運営する接骨院や診療所、病院など）での臨床実習は認められていません。

卒業後の進路

柔道整復師の資格取得後は、接骨院に勤務するケースが多く、以前は独立開業する人が多かったのですが、近年は雇用を希望する学生が増えています。独立開業を目指す場合は、柔道整復師の国家資格に加えて、鍼灸師や理学療法士の免許を取得し、自身の専門性を高める傾向があります。

接骨院以外にも、病院、整形外科医院、老人介護施設などが主な勤務先として挙げられます。介護保険の規定により、柔道整復師は機能訓練指導員として働くことができ、5年間の実務経験があれば、介護支援専門員の資格取得も可能です。また、民間のスポーツ施設などで活躍する人もいます。

養成施設の増加と課題

以前は、厚生労働省の行政指導により柔道整復師養成施設の新規開設が制限されていましたが、1998年の判決以降、養成施設指定規則を満たせば設置が認められるようになりました。その結果、他分野の専門学校や異業種からの参入が相次ぎ、養成施設数は1998年の14校から2011年には108校へと急増しました。

これに伴い、養成数も大幅に増加し、現在では医師の養成数に匹敵する年間約7000人以上が卒業する状況となっています。このような状況から、将来的な柔道整復師の過剰、教育内容の低下、就職難、接骨院の乱立による経営悪化などが懸念されています。

養成施設一覧（2022年現在）

大学：13校（募集停止校を除く）
短期大学：1校（募集停止校を除く）
専修学校・各種学校：89校（募集停止校を除く）
特別支援学校：1校（募集停止校を除く）

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