柳営茶道

柳営茶道の概要

柳営茶道（りゅうえい さどう）は、江戸時代において徳川幕府のもとで振興されてきた茶道の一形態であり、特に武士の間で広く行われていました。この茶道は、武家茶道とも称され、主な流派としては織部流、小堀遠州流、石州流の三つが挙げられます。柳営茶道は、社交の場や精神の鍛錬としての役割を果たし、武士たちの教養や礼儀作法の重要な一部となっていました。

柳営茶道の起源と流派

この茶道の起源は、初代将軍徳川家康の時代にまでさかのぼります。古田織部が、家康から2代将軍秀忠に茶の点て方を教えたことで始まりました。その後、古田織部は彼の弟子たちである中野笑雲や原田宗馭を、幕府の御茶道頭として推薦し、茶道の普及に貢献しました。

3代将軍家光の時代には小堀遠州、4代将軍家綱の時代には片桐石州が茶の湯の指南役として任じられ、茶道の発展が続きました。特に石州流においては、伊佐幸琢、野村休盛、谷村三育（彼の孫にあたる嘉順も含む）が幕府の数寄屋組頭として活躍し、茶道界での存在感を高めました。

柳営会と現在の茶会

現在の柳営茶道は、「柳営会」という親睦団体が毎年主催する茶会を通じて受け継がれています。この茶会では、御家流、小堀遠州流、石州流伊佐派、鎮信流が参加し、各流派が釜を懸けて競い合います。これらの流派は、いずれも武士の裏芸とされ、特に武家茶道において重要な地位を占めています。

江戸幕府の職制と茶道の役割

江戸幕府において、茶道は単なる趣味や娯楽ではなく、重要な職業的役割も果たしていました。御茶道頭、御数寄屋頭、御数寄屋組頭といった職制が存在し、将軍およびその周囲で茶の湯の手配や給仕を行っていました。これらの職務に就く者は、若い頃から厳しい礼儀や教養を身につける必要があり、将軍や重要な人物たちと頻繁に接触する機会が多かったため、彼らの言動が人事や政治体制に影響を与えることも珍しくありませんでした。

まとめ

柳営茶道は、単に茶を点てる技術だけではなく、武士社会の理念や礼儀作法が色濃く反映された文化的な活動として、今日においてもその魅力を持ち続けています。歴史を学ぶことで、当時の武士たちの心構えや社交の仕方を理解することができ、その余韻は今なお現代の茶道にも引き継がれています。

参考文献

• - 武家史談会編『武家茶道の系譜』（ぺりかん社、1983年）
• - 宮帯出版社編集部「茶道家元系譜」『茶湯手帳』（宮帯出版社）

外部リンク

• - 織部流（古田織部流茶湯研究会）
• - 安藤御家流
• - 小堀遠州流
• - 石州流伊佐派
• - 鎮信流
• - 柳営茶会

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