柳家さん福

柳家 さん福（やなぎや さんぷく）は、1959年11月29日に埼玉県で生まれた日本の落語家である。本名を野本 富夫（のもと とみお）といい、公益社団法人落語協会に所属している。高座で使用する出囃子は「小鍛冶」である。

経歴

柳家さん福の落語家としての道のりは、1980年11月に五代目柳家小さんに入門したことから始まる。師匠である五代目柳家小さんは、昭和・平成期を代表する落語家の一人であり、さん福はその門下生として研鑽を積んだ。

入門から約2年後の1982年、さん福は前座に昇進した。この時、初めて高座名を与えられ、「小富（ことみ）」と名乗るようになった。前座として基礎を学び、経験を重ねた。

1986年2月には、前座修業を終え、二ツ目に昇進した。この際に高座名を「さん弥（さんや）」へと改名した。この二ツ目昇進は、同期の林家とんでん平と同日に行われている。二ツ目時代は、真打昇進を目指してさらに芸を磨き、活動の幅を広げていった。

そして1996年3月、さん弥は念願の真打昇進を果たし、現在の高座名である「柳家 さん福」へと再び改名した。この時の真打昇進披露は、さん福を含め、春風亭勢朝、いなせ家半七、三遊亭窓里、林家とんでん平、橘家蔵之助、柳家福治、三遊亭らん丈、橘家仲蔵という、総勢9名の大所帯で行われた。この真打昇進によって、五代目柳家小さんの門下生は全員が真打となり、師匠の指導の成果を示す形となった。

人物・エピソード

柳家さん福は、その落語家としての活動に加え、多才な一面を持つことでも知られている。特に将棋においてはアマチュア四段の段位を持っており、これは歴代の落語家の中でも屈指の棋力であると評されている。将棋界との交流も深く、落語の舞台とは異なる分野での才能を発揮している。

また、同じ落語協会の所属で、真打である古今亭菊太楼とは親交が深く、二人で合同の落語会を開催するなど、積極的に交流を行っている。異なる個性を持つ二人の落語家による会は、観客からも好評を得ている。

柳家さん福は、師匠五代目柳家小さんから受け継いだ落語の技を基盤としつつ、自身の個性や才能を活かし、高座内外で活動を続けている。将棋の腕前や他の落語家との協調など、多角的な魅力を持つ落語家として、今後の更なる活躍が期待される。

もう一度検索