古今亭菊太楼

古今亭 菊太楼

略歴

古今亭 菊太楼（ここんてい きくたろう）師は、日本の伝統話芸である落語の世界で活動する一人であり、落語協会に所属している。本名を西村 一郎といい、1968年6月28日に生を受けた。師の高座を彩る現在の出囃子は「紀文大尽」、定紋は「裏梅」を使用している。

生地は長崎県であるが、その後は千葉県にて少年期を過ごし、成長した。学業では早稲田大学商学部へと進学したが、後に大学を中途退学している。

落語家としての道を歩み始めたのは1995年5月のこと。当時の師である二代目古今亭圓菊師に弟子入りを許され、前座として「菊一」の名を与えられた。入門からわずか3ヶ月後の同年8月には、東京都内の寄席の一つである鈴本演芸場にて、落語の基礎ともいえる噺「寿限無」を披露し、これが自身にとっての記念すべき初高座となった。

前座として研鑽を積んだ後、1999年5月には二ツ目へと昇進を果たした。この昇進に伴い、高座名を「菊可」と改め、さらなる芸の向上に励んだ。

そして、2008年9月21日、長年の努力が実を結び、真打へと昇進した。この真打昇進を機に、現在の高座名である「古今亭菊太楼」を襲名した。この時の真打昇進披露興行は盛大に行われ、同時期に真打となった三代目三遊亭歌橘師、四代目三遊亭歌奴師、春風亭百栄師、三代目古今亭志ん丸師といった顔ぶれと共に、東西の落語ファンに新たな真打の誕生を告げた。

ちなみに、真打昇進以前の1999年から2008年までの二ツ目時代には、「きりぎりす」を出囃子として用いていたが、真打昇進と共に現在の「紀文大尽」へと変更されている。

人物・活動

古今亭菊太楼師は、高座での活躍に加え、趣味や他の落語家との交流においても人間味あふれる一面を見せている。自らの趣味としては、体を動かす散歩と、身の回りを整える掃除を挙げている。こうした日常的な活動の中に、心身のリフレッシュを見出しているのだろう。

また、他の落語家との親睦も深く、特に柳家さん福師とは、定期的に二人会を開催し、互いの芸を披露し合うことで、切磋琢磨している様子がうかがえる。さらに、一見落語とは無関係に思えるユニークな活動として、古今亭志ん輔師や、自身の師匠である二代目古今亭圓菊師といった面々とともに、シイタケの栽培に熱中していることも知られている。こうした多岐にわたる関心事が、師の落語にも深みを与えているのかもしれない。

自身の主催する落語会として、毎月定例で「菊太楼の会」をお江戸両国亭にて開催している。この会は師自身が必ず出演する柱であり、自身の落語をじっくりと聴かせる場であると共に、一門の前座である古今亭菊一（※かつて師自身が名乗った前座名と同じであるが、ここでは現在の弟子を指す）も欠かさず出演し、お客様の前で経験を積む機会を得ている。このように、自身の芸を披露するだけでなく、後進の育成にも力を入れている。

弟子

一門からは、既に弟子が育っている。現在、二ツ目として古今亭菊正師が高座を務めており、師の指導のもと、さらなる精進を重ねている段階である。今後の成長が期待される存在と言えるだろう。

古今亭菊太楼師は、確かな基礎に裏打ちされた古典落語を得意としながらも、現代的な感覚も持ち合わせた明るく親しみやすい高座で、幅広い層の観客から支持を得ている。真打として脂の乗った時期を迎え、精力的に活動を続けるその姿は、今後の落語界においても重要な役割を担っていくことだろう。

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