柳澤協二

柳澤協二：日本の安全保障を担った防衛官僚

柳澤協二（やなぎさわ きょうじ）は、1946年生まれの日本の防衛官僚です。NPO法人国際地政学研究所の理事長、新外交イニシアティブの理事、自衛隊を活かす：21世紀の憲法と防衛を考える会の代表を務めています。

防衛官僚としての経歴

東京大学法学部を卒業後、防衛庁に入庁。防衛庁では、呉防衛施設局施設部長、教育訓練局訓練課長、長官官房広報課長、防衛局計画課長、長官官房秘書課長などを歴任しました。その後、防衛庁長官官房防衛審議官、防衛施設庁労務部長、情報本部副本部長、運用局長、人事教育局長、官房長、防衛研究所所長などを歴任。

2004年には内閣官房副長官補（安全保障・危機管理担当）に就任し、第2次小泉内閣から麻生内閣まで、5つの内閣で安全保障政策の中枢を担いました。2009年に退官し、日本生命保険顧問を経て、2011年より現職に至ります。

官僚としての挫折と転身

柳澤氏は、有力な事務次官候補として期待されていましたが、官房長時代の2002年、情報公開請求者の個人情報リスト作成問題への対応の不手際から、防衛研究所長に更迭されました。この経験は、その後の柳澤氏の活動に大きな影響を与えたと考えられます。

安全保障問題に関する提言

退官後は、安全保障問題に関する著述や講演活動を積極的に行っています。特に、安倍政権の安全保障政策に対しては批判的な立場を取り、集団的自衛権の行使容認や憲法解釈の変更に対して警鐘を鳴らしています。

2014年には、「集団的自衛権を考える超党派の議員と市民の勉強会」で講師を務め、安倍内閣の集団的自衛権に関する政策を批判しました。また、日本記者クラブでの会見では、安倍晋三首相と鳩山由紀夫元首相を「夢見るリーダー」と評しています。

主な著書

柳澤氏は、数多くの著書を執筆しており、その主なものとして以下のものがあります。

『検証 官邸のイラク戦争 元防衛官僚による批判と自省』
『亡国の安保政策――安倍政権と「積極的平和主義」の罠』
『自分で考える集団的自衛権――若者と国家』
『亡国の集団的自衛権』
『新安保法制は日本をどこに導くか（さよなら安倍政権）』
『自衛隊の転機――政治と軍事の矛盾を問う』

これらの著書では、自身の官僚経験を踏まえ、日本の安全保障政策の現状や課題について鋭く分析しています。

その他の活動

柳澤氏は、ネット番組「ポリタスTV」にも出演し、安全保障問題に関する見解を述べています。また、自衛隊を活かす会などの団体を通じて、安全保障に関する政策提言も積極的に行っています。

まとめ

柳澤協二は、防衛官僚として日本の安全保障政策の中枢を担った一方で、官僚としての挫折も経験しました。退官後は、安全保障問題に関する独自の視点から、積極的に発言や執筆活動を続けています。彼の活動は、今後の日本の安全保障政策を考える上で、重要な示唆を与えてくれるでしょう。

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