柳生利厳

概要

柳生利厳（やぎゅう としとし/としよし）は、江戸時代初期に活躍した剣術家であり、尾張藩士として新陰流の発展に寄与した人物です。彼は1579年に大和国柳生庄で生まれ、父は柳生宗厳の長男である柳生厳勝、母は不詳です。通称は兵助、兵庫助、または茂佐衛門であり、初名は長厳、号は如雲斎、または四友居士などのあだ名でも知られています。彼は新陰流の第三世の伝承者として知られています。

生い立ち

利厳は幼少期より剣術に親しみ、祖父の石舟斎から新陰流を学びました。家族の歴史は波乱万丈であり、太閤検地によって柳生家は所領を没収され、兄や叔父たちは他家に仕えることになりました。利厳は若年であったため、故郷に留まることを選びました。

慶長2年には、兄の戦死を経て柳生家の嫡孫となり、数年間の修行の後、熊本藩に仕官しますが、争いごとを起こして短期間で退職します。その後、12年間にわたり各地を巡り修行を続けます。

武者修行と新たな師事

利厳は新陰流の皆伝を受けた後、隠遁しつつ新当流槍術や穴沢流薙刀術を学び、これらの武道にも精通しました。特に、新陰流の流派を維持しながら、他の武道にも共感し、それを融合させる試みを行いました。

尾張徳川家への仕官

彼の武道家としての名声は、元和元年には尾張藩主・徳川義直の兵法師範に就任することによって確立されました。義直に新陰流剣術とともに槍術、長刀術を相伝し、江戸時代の武道の流れに重要な影響を与える存在となります。この際、彼は流派の正統性を保つため、印可状や伝書も義直に授けることができました。

晩年と隠居生活

慶安元年には70歳で隠居し、如雲斎と号し、隠居領を拝領。しかしながら、隠居後も彼の存在は武道界において重要であり続けました。京都の妙心寺に草庵を築き、そこで晩年を過ごします。彼の生活は静謐で豊かであり、自然を慈しむ日々が続いたとされています。

逸話と文化的影響

利厳には多くの逸話が残されており、特に宮本武蔵との交流が有名です。両者は一度も剣術を見せ合うことなく、互いの技を認め合う関係でした。また、彼の記録は尾張柳生家に継承され、江戸時代を通じた技術伝承の礎となりました。

著作

また、利厳は『始終不捨書』という著作も残しており、これは自らの剣術に関する考察を体系的に整理したもので、後世にわたり影響を与えてきました。

結論

柳生利厳は剣術家として、また指導者としての役割を果たし、現代にまで影響を与える存在となっています。彼の生涯は、武道の進化と日本の武士道精神を象徴するものとして、今なお語り継がれています。

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