柳生宗厳

柳生宗厳（石舟斎）

柳生 宗厳（やぎゅう むねよし/むねとし/そうごん、宗嚴）は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将であり、新陰流の兵法家として知られています。百官名は但馬守。通称は新介、新左衛門。入道してからは石舟斎(せきしゅうさい)と号しました。

生涯

出生から筒井氏臣従

大和国柳生庄（現在の奈良市柳生町）を領する柳生家厳の嫡男として生まれました。生年については、大永7年（1527年）とする説と、享禄2年（1529年）とする説があります。

当時の大和国は争乱が絶えず、宗厳が15歳の時、柳生城は筒井順昭の攻撃を受け落城。父・家厳は筒井氏に臣従し、宗厳も筒井氏の家臣として戦い、その武勇を認められました。剣術にも熱心で、富田流や新当流など、諸流派を学んだと伝えられています。

三好政権下

永禄2年（1559年）、三好長慶が家臣の松永久秀に命じて大和へ侵攻すると、宗厳は筒井氏を離反して久秀に与しました。久秀の家臣として重用され、その側近として活躍。三好家中枢への使者も務めるようになり、信頼を得ていきます。

永禄6年（1563年）には、久秀に従って多武峯を攻めます。この戦いで宗厳は敵の攻撃によって窮地に陥りますが、家臣の活躍によって危機を脱しました。この戦いでの武功により、久秀から感状を与えられています。また、同年には久秀から秋篠分を与えられ、主従関係を強化しました。

新陰流入門

永禄6年（1563年）、宗厳は新陰流の流祖である上泉信綱に出会い、その門弟となります。信綱との試合で完敗した宗厳は、己の未熟さを悟り、弟子入りを決意。信綱を柳生庄に招き、その剣を学びました。

翌永禄7年（1564年）、信綱から「無刀取り」の公案を授けられ、永禄8年（1565年）には『一国一人印可』を授かります。さらに永禄9年（1566年）には『新影流目録』を与えられ、新陰流の奥義を極めていきました。

信長上洛後

永禄11年（1568年）に足利義昭が織田信長を伴って上洛すると、宗厳の主君である松永久秀は織田軍と協力して大和の平定を進めました。元亀2年（1571年）、久秀の指揮の下で宗厳は筒井順慶が守る辰市城を攻めますが、この戦いで久秀方は大敗を喫しました。同年10月、宗厳は久秀の子・久通の命を受け、義昭への調略のため東国へ使僧を遣わしました。

久秀滅亡

元亀3年（1572年）、松永久秀は織田信長との対決姿勢を明確にし、信長包囲網に加わります。しかし、元亀4年（1573年）に降伏。天正4年（1576年）に信長が筒井順慶に大和の守護を任じると、翌天正5年（1577年）、久秀は信貴山城に籠城して再び信長に反抗し、自害しました。久秀の滅亡後、宗厳は元関白・近衛前久に奉公を希望する誓紙を提出しています。

豊臣政権下での没落

天正13年（1585年）、豊臣秀吉の命により大和の支配者が豊臣秀長に代わると、柳生家は所領を没収され困窮しました。文禄2年（1593年）に剃髪・入道して石舟斎と号し、兵法家としての活動に注力。自身の兵法観をまとめた『兵法百首』を著しました。

家康入門

文禄3年（1594年）、黒田長政の仲介で徳川家康に無刀取りの術技を示し、家康から入門の誓詞を受けました。家康から出仕を求められますが、固辞し、代わりに五男の柳生宗矩を推挙。このことが、後の柳生家繁栄のきっかけとなりました。文禄4年（1595年）からは毛利輝元にも兵法を教授しました。

関ヶ原の戦い

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、徳川方についた宗矩が家康から宗厳宛の書状を託され、筒井順斎と協力して石田方を牽制。戦後、柳生家は本領を安堵されました。

晩年

慶長8年（1603年）、加藤清正の要請に応え、長子・厳勝の子の柳生利厳を加藤家に仕官させました。慶長11年（1606年）に死去。享年80歳。墓所は芳徳寺にあります。

人物・逸話

医師の曲直瀬道三と親交があり、健康管理について語り合った『養生物語』があります。
松永久秀の家臣であった結城忠正とも親交があり、柳生家に伝わる「左太刀」という構えは忠正から伝えられたものとされています。

柳生宗厳の門下

徳川家康
毛利輝元
柳生宗矩
柳生利厳

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