柳生宗矩

柳生宗矩について

柳生宗矩（やぎゅう むねのり、旧字体：柳生 宗矩󠄁）は、江戸時代初期における著名な武将、大名、そして剣術家であった。彼は徳川将軍家の兵法指南役を務め、大和柳生藩の初代藩主ともなり、特に柳生新陰流（江戸柳生）を将軍家御流儀として確立した。

生涯

誕生から武士としての始まり

元亀2年（1571年）、大和国柳生庄（現在の奈良市柳生町）に生まれ、父は柳生庄の領主である柳生宗厳（石舟斎）、母は奥原助豊の娘であった。宗矩は兄たちとともに父から兵法を学び、青年期には父の領地が失われ、浪人となる。しかし、後に徳川家康に仕官し、200石の知行を得ることとなる。

柳生家の再興と関ヶ原合戦

豊臣秀吉の死後、事態は動乱に向かい、慶長5年（1600年）には関ヶ原の戦いが起こる。宗矩は家康に従い、戦後の功績によって失われた領地を取り戻すことに成功する。さらに、慶長6年には徳川秀忠の兵法指南役となり、石高も加増されていく。

大坂の陣への従軍

慶長20年（1615年）の大坂の陣では、徳川軍の案内役を務め、豊臣方の武士を瞬時に倒す功績を挙げた。この戦いで記録されている唯一の人殺しの記録が彼に残る。

坂崎事件とその後

大坂の陣の翌年、元和2年（1616年）には、友人坂崎直盛の反乱未遂事件に関与し、坂崎家の武器と屋敷を与えられる。この出来事を経て、「柳生二蓋笠」という紋を用い続けることになる。

徳川家光への指南役

元和7年（1621年）、将軍家光の兵法指南役に任命され、新陰流を伝授する。次第に信任を得て、さらに多くの加増を受け、ついには大名の地位にまで上り詰め、大和国柳生藩を立藩する。

晩年

宗矩は晩年、故郷に戻り、家臣や住人を招いて楽しむ日々を過ごしていた。1646年に病に倒れると、家光が見舞いに訪れ、彼の兵法に関する最期の教えを受け取る。3月26日、享年76でこの世を去り、遺言により柳生庄に寺を建立して父を弔うことを望んだ。

剣士としての評価

剣士として、宗矩は江戸初期の代表的存在であり、将軍家の兵法指南役としては最高位に位置した。さまざまな賞賛を受け、また新しい兵法思想を確立し、後世の武道に大きな影響を及ぼした。特に「活人剣」や「剣禅一致」などの概念を取り入れ、武道の在り方を改めて定義した。

学問と理念

宗矩の著作『兵法家伝書』は彼の兵法思想の集大成であり、剣術の実践のみならず、心の鍛錬や社会的意義についても述べられ、後世へと受け継がれていく。

数々の弟子や流派を育て上げ、新陰流は当時最大の流派となり、彼の教えは今も多くの武道家に引き継がれている。将軍との深い信頼関係を築き、政治家としても手腕を発揮した宗矩は、剣技だけでなく、禅や哲学についても教えを広めたことでも知られている。

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