柳田格之進

柳田格之進について

柳田格之進（やなぎだかくのしん）は、日本の古典落語の代表的な演目で、その別名には柳田の堪忍袋や碁盤割（ごばんわり）が含まれます。誇り高き武士の姿を描いたこの人情噺は、元々は講釈ネタとして始まりましたが、後に落語としても親しまれるようになりました。特に三代目春風亭柳枝によって広められ、その後も五代目古今亭志ん生や、志ん生の息子十代目金原亭馬生、三代目古今亭志ん朝などが得意とした演目です。

あらすじ

物語の主人公、柳田格之進は生まれつきの正直者であり、その誠実さが災いし、藤堂藩または彦根藩から追放されてしまいます。妻を亡くし、娘のお絹と共に浅草の乞食同然の生活を強いられますが、その武士としての誇りを決して失うことはありませんでした。彼の数少ない楽しみは、両替商の万屋源兵衛と碁を打ちながら酒を酌み交わすことでした。

物語は8月15日の夜、格之進が万屋の自宅で月見の宴を開くところから始まります。宴の後、番頭の徳兵衛が源兵衛に50両の行方を尋ね、事態は急展開を迎えます。50両が紛失していることが判明し、徳兵衛は格之進に疑いをかけますが、源兵衛は彼を信じ、「きっと何か事情があるはずだ」と徳兵衛を説得します。

しかし、徳兵衛は秘密裏に格之進の元を訪れ、50両の行方を問いただします。この時、格之進は「武士として、そんな疑いを受けるのは辱めだ」と激怒しますが、最終的には大金が消えたことが事実であるため、名誉を守るために金を用意すると約束します。

彼は自ら命を絶つ覚悟で、お絹に別れを告げようとしますが、お絹は吉原に行って金を工面すると決意します。無実である格之進は、やむを得ずお絹を売ることになります。金を用意した格之進は名誉を守るため、源兵衛と徳兵衛の首を取りたいと告げます。その確信を持った徳兵衛は、自身と主人の首を差し出すと約束します。

その後、源兵衛は事の次第を知り、彼に謝罪すべく急いで格之進の元を訪れますが、既に彼は去った後でした。年が経ち、年末の掃除で失われた50両が見つかることになります。源兵衛は悔い、改めて格之進を捜すように指示します。

新年の4日、徳兵衛は立派な姿の格之進に声をかけられます。格之進は主家に戻り、江戸の留守居役に出世していました。徳兵衛は震えながら50両が見つかったことを伝え、謝罪しますが、格之進は笑いながら復讐を誓い、彼らを待つように告げます。

演じ方の違い

演者によって登場人物や背景には若干の相違があります。たとえば、5代目古今亭志ん生版では、お絹はまだ身請けされていません。格之進が碁盤を斬った後に金の準備を明かし、源兵衛は急いでお絹を身請けする描写があります。また、金原亭馬生版では、格之進が娘の身請けが終わった後に格之進が登場しており、精神的な影響でお絹が病む姿が描かれています。

柳家花縁の演出も類似しており、登場人物の数や描かれ方に工夫が見られます。しかし、最終的には二人を許し、娘との新たな関係を築くことが描かれます。

関連項目

この話は、2024年に公開予定の映画『碁盤斬り』の原案となっています。この映画では、格之進とお絹の復讐劇が描かれる予定です。

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