柳田賞

柳田賞：日本の民俗学を彩る輝ける業績

柳田賞は、日本の民俗学に多大な貢献をした柳田國男博士の没後、その功績を称えるために1962年に創設された学術賞です。成城大学内に設置された柳田賞委員会が主催し、日本民俗学会が受賞候補者の推薦を行うという体制で運営されてきました。2018年度をもって、その歴史に幕を閉じました。

本賞は、民俗学の分野において顕著な業績を残した研究者や団体に授与され、日本の民俗学研究の発展に大きく貢献しました。受賞対象は、民俗学に関するあらゆる研究内容を網羅しており、地域研究、特定の慣習や信仰に関する研究、あるいは民俗学の方法論に関する研究など、幅広い研究が評価されてきました。

受賞者と受賞内容：多様な民俗学の世界

柳田賞の受賞者は、日本の民俗学研究をリードする第一人者や、地域に密着した地道な研究を続ける研究者、そして活発な研究活動を行う研究団体など、実に多様です。以下に、各回の受賞者と受賞内容を時系列で概観します。記述の都合上、詳細な解説は省略しますが、それぞれの研究テーマは民俗学の多様な側面を映し出しています。

第1回（1962年）から第10回（1971年）

初期の受賞者たちは、日本各地の民俗に関する多様な研究テーマに取り組んでいました。例えば、集団の成立過程、小祠、祭祀、信仰、漁業習俗、神々、古謡など、まさに民俗学の基礎を築くような研究が評価されています。この時代には、すでに地域の伝統や文化に焦点を当てた研究が数多く行われていたことがわかります。

第11回（1972年）から第20回（1981年）

この期間も、日本各地の民俗に関する研究が受賞対象となっています。海上交通史、修験道、昔話、若者組、神楽、女性の民俗、伊豆諸島の民俗など、研究対象は多岐に渡り、民俗学の多角的な展開を示しています。特に、地域社会における様々な文化的要素を多面的に分析した研究が目立ちます。

第21回（1982年）から第30回（1991年）

この期間は、地域研究団体による受賞が目立ち始めます。岡山民俗文化学会や、土佐の民俗文化を研究する団体、そして個人の研究者による神楽や漁民文化の研究など、地域に根ざした研究が重視されている傾向が見られます。また、死霊祭祀や沖縄の祭祀と信仰に関する研究など、宗教や信仰に焦点を当てた研究も受賞しています。

第31回（1992年）から第40回（2001年）

この期間も、沖縄の祭や芸能、巫俗と他界観、焼畑農耕、人形道祖神など、多様な研究が評価されています。日本人と宗教、太陽と稲の神殿といった、より広範なテーマを扱う研究も登場し、民俗学の研究範囲が拡大していることが伺えます。

第41回（以降）

資料不足のため、詳しい情報は公開できません。しかしながら、第46回以降は、風流としてのオフネ、在来作物の継承、真宗民俗史論といった研究、そして新潟県民俗学会、山陰民俗学会、加能民俗の会といった地域に密着した研究団体が受賞していることが確認できます。

柳田賞の意義：日本の民俗学の未来へ

柳田賞は、半世紀以上にわたり、日本の民俗学研究の発展に貢献してきました。その受賞者と受賞内容は、日本の民俗学が歩んできた道のりを示すとともに、今後の研究の指針を示唆する貴重な記録です。様々な分野における研究成果は、日本の文化や歴史、社会を深く理解する上で欠かせないものであり、柳田賞はそれらを後世に伝える重要な役割を果たしました。受賞者たちの業績は、これからも日本の民俗学研究の礎として、未来へと受け継がれていくことでしょう。

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