柳谷孝

柳谷 孝（やなぎや たかし）

1951年（昭和26年）11月13日、日本の秋田県に生を受けた柳谷孝氏は、多岐にわたる分野で活躍する著名な事業家です。特に、長年にわたる野村證券および野村ホールディングスでのキャリア、そしてその後に就任した学校法人明治大学理事長としての活動が知られています。

経歴

秋田県で少年期を過ごした柳谷氏は、高等教育の場として明治大学商学部を選択し、学びを深めました。1975年に同学部を卒業後、日本の金融界を代表する企業の一つである野村證券（現在の野村ホールディングス）に入社し、その職業人生の第一歩を踏み出しました。

野村證券に入社してからの柳谷氏は、着実にキャリアを積み重ねていきます。入社から10年後の1985年には、早くも支店長という管理職に就任し、荻窪支店や渋谷支店といった重要な拠点を率いました。その後も、事業法人二部長、財務情報部長など、証券会社の経営に関わる主要な部署で要職を歴任し、広範な実務経験と経営手腕を磨きました。

こうした実績が評価され、1997年には野村證券の取締役に昇進します。その後も順調に昇格を続け、2000年には常務取締役に、2002年には野村ホールディングスの取締役を兼務しながら野村證券の専務取締役に就任しました。さらに2003年には、野村ホールディングスの執行役と野村証券の専務執行役を兼務するなど、グループ全体の経営戦略にも深く関与するようになります。

2006年には野村証券の代表執行役副社長という、証券事業の中枢を担うポジションに就任。そして2008年には、執行役副会長に昇進するとともに、グローバル・インベストメント・バンキング部門の最高経営責任者（CEO）を兼任するなど、国内外の投資銀行業務を統括する重要な役割を果たしました。長年にわたり野村グループの発展に貢献した後、2012年に常任顧問に就任し、第一線から退きました。

野村グループでの輝かしいキャリアを終えた後も、柳谷氏は社会への貢献を続けます。2016年には、母校である学校法人明治大学の理事長に就任しました。理事長として、大学の運営や発展に尽力し、教育界における指導者としても活動しています。また、NPO法人大学経営協会の副理事長も務めるなど、高等教育全体の質の向上や経営改善にも積極的に関わっています。

訳書

柳谷氏は、ビジネス分野のみならず、個人の資産形成や人生設計に関する著作の翻訳も手掛けています。2004年には、バージニア B.モリスによる『ゆとりあるマイ・セカンドライフ―年金・保険・資産管理の知識から人生哲学まで』を東洋経済新報社から刊行し、日本の読者に向けて紹介しました。これは、長期的な視点に立ったライフプランニングの重要性を示唆するものです。

柳谷孝氏は、証券業界での卓越したキャリアを通じて日本の金融経済を牽引した実績を持ち、その後は教育分野のリーダーとして未来を担う人材育成に力を注ぐなど、幅広い分野でその手腕を発揮している事業家と言えます。

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