柴又女子大生放火殺人事件

柴又女子大生放火殺人事件

概要

柴又女子大生放火殺人事件は、1996年9月9日午後4時半頃、東京都葛飾区柴又で発生した痛ましい放火による殺人事件です。警視庁はこの事件に対し「柴又三丁目女子大生殺人・放火事件」として名称を付けました。現時点で犯人は特定されておらず、そのため未解決事件として残されています。また、この事件は捜査特別報奨金制度の対象となっています。

事件は、東京都内の民家で火災が発生したことから始まりました。火災が約2時間後に消し止められた後、焼け跡から上智大学の4年生である女子大生（当時21歳）の遺体が発見されました。この女子大生は、事件の2日後にアメリカへの留学を予定していたとされています。遺体は口と両手が粘着テープで縛られ、両足はパンティーストッキングで固定されていたほか、首には鋭利な刃物による刺し傷が確認されたため、警察は殺人事件として捜査を進めました。捜査の結果、犯行が顔見知りによるものである可能性が高いとされています。

事件の詳細

事件の発生当日、天候は悪化し、昼過ぎからは降雨が激化していました。被害者の家には母娘のみが滞在し、父親は福島県へ出張中、姉は仕事で不在でした。午後3時50分に被害者がトイレのために階下へ降り、母親との最後の会話を交わしました。その後、午後4時前に母親が仕事に出かけ、鍵はかけなかったそうです。その直後に出火が確認され、近隣住民から119番通報が入ります。午後6時頃、火は消し止められ、2階で被害者が発見されましたが、すでに亡くなっていました。

被害者は2階の両親の寝室で、父親の布団の上に横向きに横たわっていました。布団は左右に挟まれ、頭からかぶせられた様子でした。刺し傷は首に集中しており、大量出血が原因で亡くなったとされます。また、口は粘着テープで塞がれており、両腕はテープで縛られていました。さらに、両足は職業上の特殊な結び方である「からげ結び」で縛られており、これは通例として造園業などで使われる技術です。

凶器と遺留品

凶器として使用されたのは、小型ナイフのような刃物ですが、未だ発見には至っていません。また、犯人が持ち込んだ粘着テープには、3種類の犬の毛が付着したことが判明しています。被害者の家族は犬を飼っていなかったため、犯人は複数の犬を飼っていた可能性が高いと捜査本部は考えています。また、現場からは血液のDNAサンプルが採取され、他者の家族とは一致しないことも明らかになりました。

犯人の特定とその影響

捜査の中で、犯人の行動や犯行計画が示唆されています。人目に付く時間帯に短期間で行われたことから、顔見知りが家に招かれた可能性が考えられています。また、留学前日のストーカー行為の可能性、さらに強盗目的であった可能性も一時は議論されました。その一方で、貴重品や資金は手付かずのままだった点も疑問として浮かび上がっています。

現在の状況

未解決に終わっているこの事件は多くの人々に衝撃を与えており、現在も捜査が続けられています。現場は既に建物が取り壊されていますが、被害者の名を冠した地蔵が祀られており、忘れられない出来事として地域社会の記憶に刻まれています。警視庁は事件の情報提供を広く求めており、新たな手がかりを待ち望んでいます。

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