柴田勝政

柴田勝政（しばた かつまさ）

柴田勝政は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将です。佐久間盛次の三男として生まれ、母は柴田勝家の姉にあたります。後に勝家の養子となり、越前国勝山城主として名を馳せました。当時は勝安と名乗っていました。

生涯

『寛政重修諸家譜』によると、勝政は佐久間盛次の三男であり、柴田勝家の甥にあたります。また、同じく勝家の甥である柴田義宣（監物）の養子になったとも、実兄ともされています。

天正3年（1575年）、柴田義宣が勝山一帯（当時は「北袋」と呼ばれていました）に入り、七山家一揆の鎮圧に着手しますが、天正5年（1578年）に大野郡河合（現在の勝山市北谷町河合）で討ち死にしました。

勝安（勝政）は、一揆勢が立て籠もる谷城（勝山市北谷町谷）を攻略。実兄である佐久間盛政と共に加賀一向一揆の平定に尽力し、谷峠を越えて山内衆の根拠地であった牛首谷（石川県白峰村）を平定しました。福井県勝山市栄町にある義宣寺は、養父である義宣の菩提を弔うために勝安が建立したものと伝えられています。

天正8年（1580年）、勝安は村岡山城にあった拠点を袋田村に移し、勝山城を築城しました。勝安がこの地を「勝山」と改めたとも言われていますが、文献上で「勝山」という地名が現れるのは文禄年間（1592年 - 1596年）のことです。

勝安が北袋を治めた期間は短かったものの、天正10年（1582年）2月21日付で畔川（あぜかわ）（現在の勝山市立川町）など3か村の百姓中宛に出した文書（「畔川文書」のひとつ「勝安書状」）が残されています。この文書には、これらの村を直轄地とし、村を立てる際に用水を引いたために夫役を免除する旨が記されています。

天正11年（1583年）、賤ヶ岳の戦いにおいて討ち死に。27歳という若さでした。菩提寺は義宣寺です。

勝政が夫役を免除した勝山市畔川地区では、その恩義から地域の寺院（畔川道場）に勝政の位牌を安置し、法要を営んできたと伝えられています。この夫役免除は、後の領主にも受け継がれました。

生存説

賤ヶ岳の戦いの後、四国へ落ち延びたという伝承も存在します。徳島県つるぎ町貞光の江ノ脇薬師には、柴田勝政の墓と伝えられる五輪塔があります。この地では、勝政は勝家の「嗣子」とされています。『貞光町史』によれば、賤ヶ岳の合戦から落ち延びた勝政は柴野忠三郎と名を変えて貞光に暮らし、寛永18年（1641年）3月21日に没したとされ、子孫は本家が柴野、分家が柴田を名乗ったと伝えられています。

子孫

長男の柴田勝重は、外祖父である日根野氏に養育されたとされ、後に徳川家に仕え、2520石の知行を得ました。以後、旗本柴田家は幕末まで続きました。天明5年（1785年）には、柴田勝房が勝家・勝政・勝重の事績を記した文書を春清寺（勝重の葬地。現在の東京都三鷹市新川）に納めていますが、ここでは勝政が勝家の実子であるという認識が記されています。

登場作品

軍師官兵衛（2014年、演：花園直道）
小説　吉原実「攻防・金沢御堂」「火宅の門」（「北國文華」69・75号収録の短編）

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