柴田宋休

柴田 宋休（しばた そうきゅう）は、1949年2月20日に茨城県笠間市で生まれ、現在は栃木県益子町に居を構え創作活動を行う日本の芸術家です。陶芸、詩画、エッセイ執筆、講演活動、さらには浄土宗の僧侶、ツボ・整体療法士としても活動しており、その営みは多岐にわたります。

彼の芸術家としての道のりは、1968年、19歳で人間国宝である松井康成に師事したことから始まりました。松井氏のもとで11年間にわたり陶芸と仏道を学び、特に色粘土を練り合わせ、その断面に現れる美しい文様を生み出す「練上手（ねりあげ）」技法を深く受け継ぎました。この練上手は、彼の陶芸作品の根幹をなす技法であり、「練上青流文花器」「練上線文壷」「練上みがき花器」といった代表作に結実しています。茨城県立つくば養護学校に設置された大型陶壁「であえて よかった」（横6m×縦1.2m）も、練上手技法による陶板72枚で構成された印象的な作品です。

作陶活動において、彼は高い評価を獲得しています。1985年には権威ある日本伝統工芸展に初入選を果たし、1990年には「練上みがき花器」で栃木県芸術祭賞、翌1991年にも準芸術祭賞を受賞しています。1992年には国際陶磁器展美濃にも入選し、日本工芸会の正会員となりました。しかし、1998年には特定の組織に縛られず、自身の表現を追求するため日本工芸会を退会し、以後無所属で活動を続けています。

柴田宋休は、単なる陶芸家にとどまりません。浄土宗の僧侶としての顔も持ち、佛教大学通信教育部仏教学部で学びを深め卒業、律師の位を得ています。1975年には四国八十八ヶ所、1980年には西国三十三ヶ所を徒歩で巡る托鉢修行を経験しました。こうした仏道における研鑽や厳しい修行は、彼の精神性に深く影響を与え、作品の根底に流れる哲学や人間への温かい眼差しにつながっています。

また、彼は言葉と絵を組み合わせた「詩画」の表現者としても知られています。2000年に詩画集『あるがままに』を出版して以来、『であえて よかった』『すべてがチャンス』『だいじょうぶ うまくいく』など、心に響くメッセージを込めた詩画集を多数発表しています。これらの作品は、詩画はがきや日めくり・卓上カレンダーとしても人気を集めています。エッセイストとしても活動し、文章による表現も行っています。特に注目されるのは、医師であり作家の鎌田實氏のベストセラー『がんばらない』や『あきらめない』シリーズの題字や挿画を数多く手がけていることです。その温かみのある筆致は、多くの読者に親しまれています。

さらに、柴田宋休の活動は多岐にわたります。2003年にはツボ・整体療法士の認定を受け、人々の心身に寄り添う活動も行っています。1982年から1989年まで社会福祉法人に非常勤職員として勤務した経験もあり、福祉への関心も持ち合わせています。講演活動を通じて自身の経験や哲学を語り、聴衆に生きるヒントを与えています。2007年には山登りを始めるなど、常に新たな体験を通じて感性を磨き続けているようです。

柴田宋休は、人間国宝から受け継いだ確かな技術を基盤としつつ、仏道修行で培われた精神性と、詩画や文筆といった多彩な表現手段を駆使し、自らの内面世界とメッセージを発信する稀有な芸術家です。練上手による精緻な陶作品から、温かい筆致の詩画、力強い題字に至るまで、彼の創作活動全体から伝わってくるのは、生きることへの深い肯定と、他者への共感に満ちた温かい心です。栃木県益子の地で、自然と向き合いながら生み出される彼の作品は、多くの人々の心を穏やかにし、前に進む力を与えています。

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