柴進

柴進：『水滸伝』の登場人物

柴進（さいしん、Chái Jìn）は、中国の古典小説『水滸伝』に登場する重要なキャラクターです。梁山泊の中で第十位の好漢として知られており、彼の渾名は「小旋風」です。このキャラクターは、後周王朝の皇帝の子孫という背景を持ち、物語において高貴なルーツが反映されています。

キャラクターの特徴

柴進は生まれながらにして高貴な顔立ちで、周囲の人々に威厳を持ち、また非常に面倒見の良い性格をしています。彼は滄州横海郡に広大な邸宅を構えており、この場所には多くの食客が滞在しています。彼の家には様々な侠客たちが訪れ、特に林冲や武松、宋江、李逵などとは深い交流があります。

彼の登場は『水滸伝』の前身とも言われる『大宋宣和遺事』にすでに確認できる人物であり、当初は黒旋風李逵の弟分として描かれていましたが、物語が進むにつれて彼の立場は変わりました。

物語における活躍

柴進の物語は、彼が林冲をもてなすシーンから始まります。林冲が流罪にされ、柴進の屋敷へ訪れたとき、彼は自身の館にて林冲を暖かく迎え入れました。食客の中には高慢な洪教頭もおり、彼との棒術の勝負において林冲が勝利を収めた際、柴進は歓声を上げ、以降彼と親交を深めました。

その後、力自慢の武松や誤って人を殺してしまった宋江も柴進を頼り、偶然の誤解から争いを始めますが、柴進が仲介することで彼らは義兄弟の契りを結ぶに至ります。

一方で、柴進の叔父である柴皇城が脅迫されて庭を奪われ、最終的には殺されてしまいます。柴進はこの事件の仏事を取り仕切っていますが、その際、やはり脅迫する殷天錫が登場します。殷天錫は柴進の屋敷明け渡しを求め、これに激怒した李逵が彼を殺してしまいます。この結果、柴進は高廉の逆恨みを受け、捕らえられて拷問を受ける羽目になりました。

しかし、柴進を助けるため、梁山泊の仲間たちが宋江を筆頭に高唐州へ攻め込むという展開が待っています。彼らは数々の困難を乗り越え、高唐州を陥落させ柴進を無事救出しました。こうして柴進は再び自由の身となり、梁山泊に加わります。

その後の柴進は、梁山泊において後軍の守りを任されるなど、重要な役割を果たします。更には商人の盧俊義を助けるために北京に赴いたり、いくつかの戦闘に参加するなど様々な経験を積んでいきます。また、方臘征伐に際しては、敵に寝返り、内部分裂を引き起こす大きな役割も果たします。

方臘征伐後、柴進は武節将軍や横海郡の都統制に任命されますが、持病を理由に固辞します。そして最終的には故郷に帰り、富豪としての生活に戻ります。多くの梁山泊の仲間とは異なり、悲劇的な結末を迎えることなく天寿を全うしました。彼の物語は、サムライと侠客たちの強い絆を描く、興味深いエピソードの一つとなっています。

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