柴野拓美

柴野拓美：日本のSF界における巨星

柴野拓美（しばの たくみ、1926年10月27日 - 2010年1月16日）は、日本のSF翻訳家・作家・研究家であり、近代日本のSF文化に多大な影響を与えた人物です。石川県金沢市に生まれた彼は、若い頃からSF文学にのめり込みました。父・為亥知は陸軍軍人でありながら芸術家でもあり、柴野は彼の影響を受けながら成長しました。

柴野は青山学院大学に進学後、一時金沢に戻り、その後東京工業大学で機械工学を専攻。1950年に卒業した後は、東京都立小山台高等学校の数学科教諭として過ごしました。この時期、彼は日本初のSF専門誌『星雲』の発行を始め、多くの人々にSFの楽しさを伝えました。

1957年には、日本初のSFファングループ『宇宙塵』を創設。最初の名称は「科学創作クラブ」でありましたが、入稿直前に名称を変更。この同人誌からは星新一をはじめとする多くの有名SF作家が登場し、『宇宙塵』は日本文学史において伝説的な作品となりました。彼は死去するまでこのファングループの主宰として活動し続け、多くの新しい才能を育てました。

また、彼は1962年に第1回日本SF大会を主催し、その後1965年にはSFファングループ連合会議を創立するなど、活発にSFファンダムの発展に寄与しました。彼の役割は日本SF界の礎を築く重要な要素となり、1982年には『宇宙塵』が星雲賞特別賞を受賞しています。

彼はさらに、柴野拓美賞を設立し、SFファンダムに貢献した有志を顕彰し続け、功績のあった個人にその栄誉を与えました。2015年からは、柴野拓美記念日本SFファンダム賞も設けられ、多くのファンの活動を後押ししています。

柴野は翻訳家としても高い評価を受けており、小隅黎（こずみ れい）というペンネームで活動。彼はアニメ作品のSF考証にも関わり、『宇宙エース』や『科学忍者隊ガッチャマン』などの著名な作品にも寄与しました。彼の翻訳や考証のスキルは、後の世代の作家にも大いに影響を与えました。

彼の逝去後も、多くの業績が評価され続け、2010年には星雲賞特別部門を受賞し、2011年には東京アニメアワードで功績賞を受章しました。彼の貢献は今なお日本のSF文化の発展に寄与しており、その影響は広範囲にわたります。

柴野拓美の業績を通じて、彼の熱意や才能がいかに多くの人々に影響を与えたのかを感じ取れることでしょう。彼の存在は日本SF界の灯台であり、今後もその光は消えることはありません。

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