柿本多映

柿本多映（かきもと たえ）

プロフィール

柿本多映は、1928年2月10日に滋賀県大津市で生まれた俳人です。本名は妙子。実家は天台宗の総本山である園城寺（三井寺）という由緒ある家柄です。1947年に京都女子専門学校（現在の京都女子大学）を卒業しました。

俳句への道

当初は短歌に親しんでいましたが、1951年の結婚を機に作歌から一時的に離れます。その後、1976年に西武百貨店大津俳句教室で句作を始め、俳句の世界へ足を踏み入れました。翌1977年には、俳人・赤尾兜子が主宰する俳句結社「渦」に入会し、本格的に俳句を学び始めます。

1981年に兜子が亡くなった後は、橋閒石、桂信子に師事し、俳句の研鑽を積みました。その後、「草苑」「白燕」「犀」といった俳句結社で同人として活動し、現在は特定の結社には所属せず、無所属の俳人として独自の活動を続けています。

受賞歴

柿本多映は、その卓越した才能により、数々の賞を受賞しています。

渦賞
滋賀県出版文化賞
現代俳句協会賞（1988年）
草苑賞
桂信子賞（2013年）
詩歌文学館賞（2014年）
現代俳句大賞（2017年）
蛇笏賞（2020年）
第65回毎日芸術賞

これらの受賞歴は、彼女が現代俳句界において重要な俳人として高く評価されていることを示しています。

作品

柿本多映は、これまでに7冊の句集を出版しており、その作品は繊細で美しい言葉選びと、深い精神性が特徴です。代表的な句集には以下のようなものがあります。

『夢谷』
『蝶日』
『花石』
『仮生』

また、エッセイ集も2冊出版しており、俳句に対する深い思索や日常生活における感動を綴っています。

『時の襞から』
『季の時空へ』

所属団体

柿本多映は、以下の団体に所属しています。

現代俳句協会会員
日本ペンクラブ会員
日本現代詩歌文学館評議員

著書一覧

『蝶日』富士見書房 1989年
『柿本多映句集』ふらんす堂 現代俳句文庫 1993年
『花石』深夜叢書社 1995年
『白體』花神社 花神俳人選 1998年
『時の襞から』深夜叢書社 2000年
『肅祭』思潮社 2004年
『季の時空へ エッセイ』文學の森 2011年
『ステップ・アップ 柿本多映の俳句入門』文學の森 2011年
『仮生』現代俳句協会 現代俳句コレクション 2013年
『夢谷 第一句集』東京四季出版 俳句四季文庫 2013年
『柿本多映俳句集成』深夜叢書社 2019年

参考文献

金子兜太編 『現代の俳人101』 新書館、2004年、160-161頁。

外部リンク

柿本多映の俳句 - 現代俳句人名事典
現代俳句協会賞（第35回 柿本多映） - 現代俳句協会




柿本多映は、俳句を通して、その繊細な感性と深い洞察力で、読者に豊かな感動を与え続けています。彼女の作品は、日本の美しい四季や、人の心の機微を捉え、俳句の新たな可能性を切り拓くものとして、これからも多くの人々を魅了し続けるでしょう。

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