栃木県道19号藤原塩原線

栃木県道19号藤原塩原線は、栃木県日光市と那須塩原市を結ぶ主要地方道です。この路線は、特に県北部の主要な温泉地である日光市の鬼怒川温泉郷と那須塩原市の塩原温泉郷をつなぐ役割を担っており、観光や地域住民の移動において重要なルートとなっています。

概要

本路線は、その大部分にあたる約30.3kmの区間が、かつて栃木県道路公社が管理する一般有料道路「日塩有料道路」として供用されていました。この有料道路は、利用者に長く親しまれた「もみじライン」と、後に追加された「龍王峡ライン」という二つの愛称を持っていました。しかし、料金徴収期間の満了に伴い、2020年 12月11日からは全線が無料開放され、現在は自由に通行できるようになっています。

沿道には、名の通り多数のモミジが植栽されており、秋の紅葉シーズンには見事な景観を呈することから、「もみじライン」の愛称で知られる区間は、関東地方でも屈指の紅葉狩りの名所として多くの観光客が訪れます。また、周辺には豊富な温泉や複数のスキー場があり、年間を通じて様々な目的で利用されています。龍王峡ラインとして整備された区間は、並行する国道121号の混雑を緩和するため、実質的なバイパスとしての機能も果たしています。

日塩有料道路としての歴史は長く、もみじラインは48年2ヶ月、龍王峡ラインは18年9ヶ月にわたり料金が徴収されました。これらの道路建設にかかった総工費は、もみじラインが約19億円、龍王峡ラインが約32億円で、合計約51億円に上ります。

路線データ

起点: 栃木県日光市鬼怒川温泉滝（国道121号、国道352号交点）
終点: 栃木県那須塩原市塩原（もみじライン入口交差点＝国道400号交点）
総延長: 32.243 km
うち旧日塩有料道路区間: 30.341 km

歴史

現在の栃木県道19号藤原塩原線につながる路線は、1962年 8月10日に主要地方道藤原西那須野線として認定されたことに始まります。その後、道路整備が進められ、特に主要区間となるもみじラインの工事が1970年 8月に開始され、1972年 10月1日には有料道路として開通しました。

路線の名称や区分には変遷があり、1981年 4月30日には一般国道400号が指定され、当時の藤原西那須野線の一部区間が国道との重複指定となりました。これに伴い、1983年 1月17日には路線の変更が行われ、現在の主要地方道藤原塩原線として改称・再認定されています。さらに1993年 5月11日には、建設省（現国土交通省）により、主要地方道として改めて指定されました。

日塩有料道路の一部である龍王峡ラインは、1999年1月に工事が始まり、2002年 3月25日に開通しました。この龍王峡ラインの追加により、日塩有料道路全体の料金徴収期間が延長されることとなります。

そして、2020年 12月10日をもって日塩有料道路の料金徴収期間が満了し、翌日の12月11日には道路の管理が栃木県に移管されるとともに、全線が無料開放されました。

路線状況

無料開放された現在でも、旧日塩有料道路区間には有料道路時代からの愛称が使われています。

もみじライン: 元々、鬼怒川温泉と塩原温泉を結ぶ古い観光・産業道路がありましたが、幅員が狭いなどの課題があったため、抜本的に再整備されて有料道路として開通した区間です。秋の紅葉の名所として広く知られています。塩原側の料金所手前には公衆トイレなどを備えた広場があり、塩原側からこの地点までの利用は料金が不要でした。

龍王峡ライン: 主に秋の紅葉見物や冬のスキー場へ向かう観光客の増加、そして並行する国道121号線の龍王峡周辺での混雑緩和を目的に整備されたバイパス区間です。この区間は、一本のトンネルと五つの橋梁で構成されており、円滑な交通に貢献しています。

地理

本路線が通過する自治体は、栃木県の日光市と那須塩原市です。

沿線には、以下の主要な観光地や施設が点在しています。

鬼怒川温泉
龍王峡
太閤下しの滝
高原山（山麓部）
白滝
エーデルワイススキーリゾート
ハンターマウンテン塩原
塩原新湯温泉

また、起終点においては他の主要道路と接続しています。起点は日光市鬼怒川温泉滝で国道121号および国道352号に、終点は那須塩原市塩原で国道400号にそれぞれ接続しています。

その他

本路線の一部であるもみじラインは、人気漫画・アニメ作品「頭文字D」の第四期シリーズにおいて、公道レースの舞台としても登場しています。

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