栄光のランナー/1936ベルリン

映画『栄光のランナー/1936ベルリン』詳細解説

『栄光のランナー/1936ベルリン』（原題：Race）は、2016年にアメリカ、ドイツ、カナダが共同で制作したスポーツ伝記映画です。この作品は、1936年のベルリンオリンピックで、陸上競技において史上初の4冠を達成したアメリカの黒人選手、ジェシー・オーエンスの波乱に満ちた半生を描いています。彼の偉業を称えるだけでなく、当時の人種差別や政治的な背景にも焦点を当て、観る者に深い感動と問いかけを与えます。

あらすじ

物語は、ジェシー・オーエンスがオハイオ州立大学に入学するところから始まります。そこで彼は、生涯の師となるラリー・スナイダーコーチと出会い、才能を開花させていきます。ベルリンオリンピックでは、圧倒的なパフォーマンスで4つの金メダルを獲得しますが、その裏では、ナチス・ドイツがオリンピックをアーリア民族の優位性を誇示するためのプロパガンダとして利用しようとしていました。また、アメリカ国内では、オリンピックへのボイコット運動も起こっていました。ジェシーは、これらの政治的な動きと、自身の人種差別という困難に立ち向かいながら、スポーツマンとしての誇りを胸に競技に臨みます。映画は、彼の成功までの道のりだけでなく、当時の社会情勢や人々の葛藤を多角的に描いています。

キャスト

• - ジェシー・オーエンス: ステファン・ジェームス（日本語吹替：杉村憲司）

- 卓越した身体能力を持つ陸上選手。人種差別に苦しみながらも、不屈の精神で数々の偉業を成し遂げる。

• - ラリー・スナイダー: ジェイソン・サダイキス（日本語吹替：咲野俊介）

- ジェシーの才能を見抜き、彼の成長を支えたコーチ。厳しくも温かい指導でジェシーを導く。

• - アベリー・ブランデージ: ジェレミー・アイアンズ（日本語吹替：田中正彦）

- オリンピック委員会の有力者。政治的な動きにも関与する。

• - レニ・リーフェンシュタール: カリス・ファン・ハウテン（日本語吹替：園崎未恵）

- ナチス・ドイツの映画監督。オリンピックの記録映画を制作する。

• - エレミア・マホニー: ウィリアム・ハート（日本語吹替：仲野裕）

- オリンピックボイコットを支持する人物。

その他、ルース・ソロモン役をシャニース・バントン、カール・ロング役をデヴィッド・クロスが演じています。

スタッフ

• - 監督: スティーヴン・ホプキンス
• - 製作: ジーン＝チャールズ・レヴィ、スティーヴン・ホプキンス
• - 製作総指揮: ジョナサン・ブロンフマン、デヴィッド・ギャレット、ティエリー・ポトク、アル・マンティーヌ、マーク・スローン
• - 脚本: ジョー・シュラップネル、アナ・ウォーターハウス
• - 撮影: ピーター・レヴィ
• - 美術: デヴィッド・プリスビン
• - 編集: ジョン・スミス
• - 音楽: レイチェル・ポートマン

音楽

サウンドトラックは、レイチェル・ポートマンが作曲し、2016年2月19日にリリースされました。劇中の感動的なシーンを盛り上げる、力強く美しい音楽が特徴です。

受賞

映画は商業的な成功を収め、特にカナダ映画賞では、ジェームズの主演男優賞を含む4部門を受賞しました。この映画は、スポーツの感動だけでなく、人種差別や政治的な問題に立ち向かう勇気を与え、多くの観客を魅了しました。

作品の意義

『栄光のランナー/1936ベルリン』は、単なるスポーツ映画ではなく、歴史的な出来事を背景に、人間の尊厳と勇気を描いた作品です。ジェシー・オーエンスの偉業を通して、人種差別や政治的な圧力に屈することなく、自分の信じる道を突き進むことの大切さを教えてくれます。また、1936年のベルリンオリンピックという歴史的な舞台を通して、スポーツが社会に与える影響についても深く考えさせられる作品です。

もう一度検索