栄町 (台北市)

栄町は、日本統治時代の台北市において、その中心部を形成していた行政区の一つです。現在の台北市における衡陽路や宝慶路といった地域が、当時の栄町に相当します。この地は、戦前の台北において最も繁栄した商業地区であり、その賑わいから「台北の銀座」とも呼ばれていました。

栄町には、様々な施設が立ち並んでいました。一丁目には、新高堂書店があり、ここは現在の東方出版社にあたります。二丁目には、台湾銀行本店が存在し、現在も台湾銀行として利用されています。また、同丁目には栄町郵便局もありました。

さらに、二丁目26番地には文明堂書店がありました。この書店は1897年に長谷川直によって創業され、日本の新刊雑誌や書籍のほか、蓄音機やレコード、ラジオ機器などを販売していました。戦後、文明堂書店は京都で再開業しています。同じく二丁目には、辻利茶舗がありました。1899年に三好徳三郎が渡台し、辻利台北支店として開業しましたが、戦後、祇園辻利として再出発しました。現在のスターバックス重慶店が、その跡地に建てられています。

三丁目には、菊元百貨店や台北信用組合がありました。菊元百貨店は現在の国泰世華銀行が建つ場所に、台北信用組合は現在の合作金庫銀行が建つ場所にそれぞれ位置していました。また、四丁目には台湾日日新報社がありました。

三丁目と四丁目にまたがる形で、台北公会堂がありました。この公会堂は、現在の台北中山堂として知られています。

栄町は、その名の通り、台北の中心的な商業地として栄え、多くの人々にとって重要な場所でした。これらの施設は、当時の台北の社会や文化を反映しており、その歴史を今に伝えています。

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