栄養サポートチーム

栄養サポートチーム（NST）とは

栄養サポートチーム（NST: Nutrition Support Team）とは、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師、リハビリテーションスタッフなど、多職種の医療従事者が集まり、患者さんの栄養状態を改善するために連携して活動するチームのことです。NSTは、患者さん一人ひとりの状態や疾患に合わせて、適切な栄養管理を行うことを目的としています。

NSTの歴史

NSTの起源は、1960年代に米国で開発された中心静脈栄養（TPN）に遡ります。TPNの普及とともに、栄養管理の専門家チームの必要性が認識され、欧米を中心にNSTが発展しました。

日本では、1998年にPPM（Potluck Party Method）方式という簡便なNST導入法が考案されたことがきっかけとなり、NSTが全国の医療機関に広まりました。2006年には診療報酬改定によりNST加算が設けられ、多くの病院でNSTが設立されるようになりました。

現在では、1,500以上の医療施設にNSTが設置され、その活動はますます活発になっています。

NSTの組織と役割

NSTは、多職種の医療従事者から構成されるチームです。主なメンバーは以下の通りです。

医師（歯科医師を含む）
看護師
薬剤師
管理栄養士
臨床検査技師
リハビリテーションスタッフ（理学療法士、作業療法士、言語聴覚士）
歯科衛生士
臨床工学技士
医療事務職員
資材事務職員

これらのメンバーがそれぞれの専門性を活かし、患者さんの栄養状態の評価、栄養補給方法の検討、栄養状態の改善などを行います。

NSTの補助組織

NSTの活動をサポートするために、以下のようなワーキングチームやコラボレーション組織が設置されることがあります。

褥瘡チーム
摂食・嚥下障害チーム
呼吸療法チーム
感染症対策チーム
生活習慣病対策チーム
病院食改善チーム

NSTにおける各職種の役割

各職種の役割は以下の通りです。

医師：NSTのリーダーとして、栄養療法の計画や指示を行います。
看護師：患者さんの状態観察、カテーテル管理、食事のチェック、NST診療録の管理などを行います。患者さんの状態をチームに伝え、患者さんに栄養状態を理解してもらうことが重要な役割です。
薬剤師：輸液製剤の調製、処方内容の検討、薬剤と栄養剤の相互作用のチェック、消毒方法の検討、医療従事者や患者さんへの教育などを行います。
管理栄養士：患者さんの食事摂取量や摂取状況を把握し、食事量や食事形態の調整を行います。栄養に関する専門的な知識を活かして、NSTの中心的な役割を担います。
臨床検査技師：血液検査などの臨床検査データから患者さんの栄養状態をモニタリングし、チームに情報提供します。
リハビリテーションスタッフ：
理学療法士：身体測定や基本動作の評価、筋力や持久力の向上、離床促進を目的とした訓練を行います。
作業療法士：食事動作の評価や訓練、食事用具の提案・活用などを行います。
言語聴覚士：嚥下機能の評価・訓練、口腔ケア、嚥下機能に応じた食事形態の選択などを行います。

関連団体

NSTに関する認定制度や研修プログラムを提供している主な団体は以下の通りです。

日本静脈経腸栄養学会（JSPEN）
日本病態栄養学会
日本栄養療法推進協議会

まとめ

NSTは、多職種が連携して患者さんの栄養状態を改善する重要なチームです。NSTの活動は、患者さんのQOL（生活の質）向上や医療費削減にも貢献すると期待されています。

参考文献

日本静脈経腸栄養学会
日本病態栄養学会
日本栄養療法推進協議会

関連項目

栄養学
栄養アセスメント
ハリス-ベネディクトの式

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