輸液

輸液（ゆえき）とは

輸液は、患者に水分や電解質を点滴静注する治療法であり、さまざまな状況で行われます。具体的には、急激な水分や電解質の喪失、出血による循環血漿量の減少、経口摂取不能などの際に利用され、非常に効果的な手段です。

輸液の目的

主な目的は、以下の通りです。
1. 水分および電解質の補充: 点滴により速やかに補充が可能です。
2. 血液の置換: 大量出血時には循環血漿量の減少を防ぐために重要です。
3. 経口摂取の代替: 食事がとれない際には完全静脈栄養法（TPN）を用いることがあります。
4. 静脈路の確保: 継続的な静脈注射が必要な場合にも行われることがあります。

輸液の適応

輸液は次のような状況で適応されます。

• - 下痢や嘔吐による脱水状態
• - 大量出血による循環血液量の不足
• - 経口摂取不可能の状態（経腸栄養ができない場合など）

輸液製剤の種類

輸液製剤は、その成分によって分類されます。特に日本では、Na濃度に基づく呼称が使われています。

• - 0.9%生理食塩水: 細胞外液と浸透圧が等しく、全体的に補水が可能です。
• - 5%ブドウ糖液: 細胞内外に水を供給しますが、エネルギー源としてはほとんど使用されません。
• - リンゲル液: 細胞外液の成分に近い電解質製剤で、ショック時の初期輸液に用いられます。

各製剤の具体的な役割

• - 1号液: 初期液として用いる。
• - 2号液: 脱水の補給に使用。
• - 3号液: 基本の維持液として、食事が摂れない際に必要な成分を含む。
• - 4号液: 主に乳幼児に用いられる術後回復液。
• - 高カロリー液: 栄養補給が必要な場合に使用。

輸液量の決定

輸液量は、ナトリウムや電解質の必要量を考慮しながら決定されます。正常な腎機能がある場合、1日当たり最低700mLから最大10,000mLの尿を排出することができるとされています。この範囲内であれば、特に問題が起きることは少ないとされています。

特殊な状況

外科的援助

周術期の輸液では、患者の体液バランスを維持するために、維持液や喪失液が考慮されます。

小児科での管理

小児に対しては、脱水症状に注意しながら初期輸液や維持輸液を行います。特に乳幼児の場合、体重別に量が調整されます。

救急医療における応用

熱傷患者に対しては、特別な計算式（バクスターの公式）を用いて適切な輸液量が決定されます。

輸液治療の重要性

輸液は、様々な治療法の中でも重要な役割を果たし、患者の状態を改善するために欠かせない治療手段です。適切な浸透圧のバランスを考慮しながら、医療専門家が個々の症例に最良の選択肢を提供することが求められます。

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