栗本一夫

栗本 一夫（くりもと かずお）

概要

栗本一夫は、1912年5月27日に岐阜県稲葉郡則武村で生まれた日本の裁判官であり、元最高裁判事です。彼は特に「四畳半襖の下張事件」の裁判長として知られており、その姿勢や判決は今でも注目されています。1992年11月27日に亡くなりました。

経歴

栗本氏は岐阜県の旧制熱田中学校を卒業後、東京帝国大学に進学しました。1934年には高等試験司法科に合格し、1935年には法学部を卒業しました。司法官試補としてのキャリアは、東京地裁や仙台地裁、浦和地裁などでの裁判官生活を経て、陸軍司政官としても活動しました。終戦後は、終戦連絡中央事務局で連絡官を務めました。

1946年11月には司法省刑事局に勤務し、新刑事訴訟法の立案にも貢献しました。その後、1950年以降は地裁で様々な裁判実務を行い、特に造船疑獄の飯野グループの裁判では裁判長を務めました。1958年には最高裁経理局長に就任し、1967年からは福島地裁の所長を務めました。1968年には東京高裁判事として活動し、そこでの黒い雪事件において一審無罪判決を支持しました。この件では、映画がわいせつ図画とは判断されたものの、犯意はなかったとの認定がなされました。横浜地裁所長や名古屋高裁長官を経て、1976年5月25日に最高裁判所裁判官に就任しました。彼は1982年に定年退官し、多磨霊園に墓所があります。

人物

栗本氏は本の愛好者であり、浄土宗を信仰していました。東京都世田谷区深沢に住んでいました。1976年に最高裁判事に就任した際、彼は「最高裁の判断は固定したものではなく、時の流れで変わることは仕方がない。一歩ずつ遅れてついていく程度でいい」とコメントし、その後の裁判所運営についても重要な見解を示しました。

著書

彼は多くの書籍を執筆しています。主な著作には、『新刑事証拠法』、及び『刑事訴訟法 ポケット註釈全書』などがあり、これらは刑事法に関する基本的な知識を提供する重要な文献として広く認識されています。また、数多くの専門書籍を共著としても出版しています。

家族・親族

栗本氏の家族構成には、父兵治郎、母まき、そして妻トシ子が含まれます。彼の長男は経済人類学者の栗本慎一郎で、二男の重夫と長女もおり、家族は岐阜県と東京都を拠点に生活していました。

参考文献

彼についての詳細な情報は、野村二郎の著作『最高裁全裁判官：人と判決』および『日本の裁判史を読む事典』などからObtainedされ、多くの裁判史においても彼の名前が見受けられます。関連する訴訟事件には、大阪空港訴訟や狭山事件、マレーシア航空事件、堀木訴訟などがあります。

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