栗田英男

栗田英男 (くりた ひでお) の生涯

栗田英男は1912年12月20日に栃木県足利市で生まれ、1996年10月4日に亡くなった日本の商人、実業家、政治家であり、美術評論家でもある多才な人間でした。彼は、中央大学法学部を中退した後、その商才を生かし、肥料商として成功を収めますが、政治や文化の分野にも広く影響を与えました。

政治家としての足跡

栗田は戦後の1946年、初めて衆議院議員選挙に立候補しますが、この時は落選。その後、1947年に民主党から見事当選し、政治界に足を踏み入れました。同時に、栗田政治経済研究所を設立し、経済に関する研究活動を行います。しかし、在職中には疑惑が持ち上がり、1948年には衆議院不当財産取引調査特別委員会で証人喚問を受けることとなります。この時の証言は物議を醸し出し、政治活動の中での彼の言動が注目されることになります。

その後、1952年の衆議院議員選挙では改進党から出馬して当選。その後も再選を果たし、経済安定委員や予算委員などの重要な役職を歴任します。彼が手掛けた独占禁止法改正案、いわゆる栗田私案は特に知られています。また、田中角榮を平然と呼び捨てできる数少ない政治家としても知られ、迫力のある言動で政界の注目を集めました。しかし、1958年の選挙で自民党公認で出馬した際には落選し、その後政界から引退します。

総会屋としての活動

栗田は政界引退後も、栗田政治経済研究所を拠点にして総会屋としての活動を続けました。彼は企業の検査役や顧問として関与し、数多くの企業から恐れられる存在となりました。特に、正力松太郎亡き後の日本テレビの粉飾決算事件などでその名は広まりましたが、元代議士という立場から一度も摘発を受けることはありませんでした。彼の活動は、企業界における影響力の象徴とも言えます。

芸術への情熱

一方で栗田は美術への深い愛情も持っており、伊万里や鍋島の収集に情熱を注ぎました。彼は1968年に東京都中央区で栗田コレクションルームを一般公開し、1975年には足利市に3万坪の敷地を有する栗田美術館を開館しました。自身の美術コレクションに500億円を投じたと言われ、その普遍的な魅力を広める活動に努めました。1993年には自身の自邸を栗田美術館に寄贈し、栗田英男記念館として公開されましたが、2005年には収蔵品が栗田美術館に移転され、記念館は閉館しました。

著作と影響

栗田はまた執筆活動にも力を注ぎ、経済に関する著書を多数発表しました。「知らねばならぬ経済学」や「検査役の日通調書」など、経済や産業に関する彼の考えを表現した作品は、今なお多くの人に読まれています。

結論

栗田英男は商人、政治家、美術評論家として幅広い分野において影響を及ぼした人物でした。彼の多才な人生の中で培った経験と知識は、今も日本の商業や政治、さらには美術の分野でその影響を色濃く残しています。

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