総会屋

総会屋について

総会屋（そうかいや）とは、日本において株式会社の株式を少数所有し、株主としての権利の行使を乱用する者や組織を指します。これにより、企業から不適切に金品を受け取ったり要求することが問題視されています。別名では「特殊株主」や「プロ株主」とも呼ばれ、英語では「racketeer」や「corporate extortionist」などの用語で表されることがあります。

総会屋の存在は、企業の株主総会の健全な運営を妨げる要因となり、その活動は1981年と1997年の商法改正により制約を受けました。さらに2006年の会社法施行によって、株主の権利行使に対する利益供与が明確に規制されています。

概要と種類

総会屋は、株を保有しつつ株主総会で質問を行い、コンサルタント料や雑誌の購読代金などを受け取る場合があります。大きく分けると、次の2種類に分類されます。

1. 進行係（与党総会屋）: 会社の説明に賛成する姿勢をみせ、議事進行をスムーズに行おうとしますが、企業側の対応次第では、意図的に総会を混乱させることもあります。
2. 会社ゴロ（野党総会屋）: 総会中に無意味な質問を繰り返すことで自らの存在をアピールし、その行為を止めるための対価を求める者です。

さらに、新聞屋や政治ゴロ、倒産ゴロといった種類もあり、それぞれ異なる手法で不当利益を得ようとします。特に暴力団との関係が深い総会屋の場合、企業に対する圧力を強化し、さらなる利益を引き出そうとする傾向があります。

総会屋の歴史と背景

総会屋の活動は、大正初期にさかのぼることができます。当時、株主による買占めや支配権の争奪が増え、企業側も総会の運営に協力者が必要とされました。この頃の総会屋は少数の存在で、企業側からは儀礼的に金銭が支給されるだけでした。

戦後は財閥解体や様々な企業スキャンダルの影響を受け、総会屋の人数と影響力は増大しました。1970年代には、暴力団と総会屋が密接に関わり合うようになり、両者の連携が問題視されるようになります。

法規制の変遷

法的な規制は1981年の商法改正以降、強化される方向に進みます。商法494条により、株主総会での権利の濫用が厳しく罰せられることとなりました。また、1982年には単位株制度が導入され、多くの総会屋が株主総会から排除される結果となりました。

1997年に発覚した小池隆一事件では、企業が総会屋に利益供与を行っていたことが明るみに出ると、企業の体質も大きく変わりました。この事件を契機に、利益供与に関する法規制が新たに設けられ、コンプライアンスの意識が高まっています。

現在の状況

2023年現在、警察庁によると総会屋として活動する者は約150人にまで減少しました。人数こそ少ないものの、株主総会での影響力は根強く、今後も対策が求められる課題として残っています。企業は透明性を高めつつ、総会屋との関係を見直すべきでしょう。

総会屋問題は、企業ガバナンスや株主の権利の行使において重要な問題であり、今後もその影響を監視しつつ、適切な法整備が求められると言えます。

もう一度検索