校長着任拒否闘争

校長着任拒否闘争について

校長着任拒否闘争は、1968年に福岡県の県立高等学校で発生した注目の労働争議です。この事件は、日本教職員組合（日教組）が中心となり、教育現場の組合員たちが新たに指定された校長の着任を拒否したことから始まりました。

背景

当時、福岡県の教育界は、日教組の二教組をはじめとする複数の教師組合によって強い影響を受けていました。福岡県高等学校教職員組合（高教組）と福岡県教職員組合（県教組）は、いずれも力を持っており、教育行政はこれら組合の意思を無視できない状況でした。このような状況下で、1967年4月の福岡県知事選挙の結果が教育環境に大きな影響を及ぼすことになります。現職の知事が自由民主党からの候補者に敗れたことで、革新県政から保守県政への移行がなされました。

この選挙結果を受け、福岡県教育委員会は、日教組のストライキ参加者に対し、処分を行ったことから、組合との対立が激化しました。1968年4月、県教委は新たに15人の校長を任命しました。しかし、これらの校長の中には、すでに処分を受けた者が多く含まれていたため、組合は着任を拒否する決定を下しました。

闘争の始まり

組合は12名の校長について、全県下で着任拒否を指令し、現場の教師たちはこれに従いました。この影響で、校長が着任できなかった学校もあり、県教委は強制的な着任を執行することとなります。警官隊も導入され、暴力的な衝突が生じる場面も少なくありませんでした。

具体的には、黒木高等学校や修猷館高等学校など、幾つかの校長が校門前でピケに囲まれたり、暴力に遭ったりする事態が多発しました。校長たちは事務室に入ることができなかったり、教師や生徒から激しい抗議を受けたりすることが続きました。特に黒木高等学校では、組合員から抗議のための計画的な圧力がかけられ、校長がやむなく自宅から辞令を受け取りました。

事態の悪化と処分

この状況が続く中、福岡県教育委員会は7月に、反発していた組合員や校長らに対する処分を発表します。ここでは、21名の校長が懲戒免職となり、多くの教師も停職処分にされました。この措置に対して、日教組は教育委員会のやり方をフェシズム的だと非難しました。

更には、福岡県知事が介入し、問題解決に向けた調停が試みられることになりますが、組合は納得せず対立が続きました。最終的には、9月に新たな校長たちがやっと登校したものの、組合からの無言の抵抗が続きました。

闘争の終息とその後

校長着任拒否闘争は、終わりを迎えた後も影響が色濃く残り、社会的な関心を集め続けました。高教組の指導者たちはこの闘争を背景に政治活動へと進み、多くのリーダーが政治の場に進出しました。この事件は、教育界における職員の権利や労働条件の向上に対する闘争の象徴ともなり、以降の教育運動にも影響を与えることとなりました。

このように、校長着任拒否闘争は、福岡県の教育界における深い亀裂を示し、教職員の団結と闘争の歴史を物語る出来事です。その後もこの争いは長らく続き、最終的には1986年まで様々な形での闘争が繰り広げられました。

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