根修習経

根修習経（こんしゅうじゅうきょう）について

『根修習経』は、パーリ仏典の経蔵中部に位置する第152経で、釈迦が教えを説く重要な書物です。本経典は「感官修習経」とも呼ばれ、六感とその対象に関する教えが中心となっています。

登場人物

この経には以下の主要人物が登場します。

• - 釈迦: 仏教の開祖であり、知恵と慈悲の象徴。
• - ウッタラ: 婆羅門の青年で、師の教えを持参。
• - アーナンダ: 釈迦の親しい弟子であり、重要な役割を果たす。

物語の背景

この経典は、釈迦がガジャンガラーにあるスヴェール林に滞在している時に、ウッタラが訪問するところから始まります。ウッタラは、彼の師が感官を修習し、それに関する対象を認識しないことを教えていると語ります。これに対し、釈迦はこう指摘します。もし単に対象を遮断することが感官の修習であるならば、盲目者や聾者もまた感官の修習者になってしまうと。

この言葉にウッタラは反論することができず、沈黙状態に陥ります。釈迦はこの反応を見て、さらにアーナンダに対して教えを続けます。

真の感官の修習

釈迦は、六根（視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、意識）における対象を無常として仰ぎ見ることで、執着がなくなる真の感官の修習とは何であるかを説明します。この教えは、単なる感覚の遮断を超え、理解と力の重要性を強調します。無常の観察を通じて、感官の対象との関係性を調整し、心の平穏をもたらすことが目的です。

有学の行と聖者の行

更に、釈迦は未熟な有学者と聖者の行動と理解の違いについても言及します。有学者は、感官の修習を通じて得られる知識を認識していますが、聖者はその知識を体得し、深い理解を持っています。この違いは、修行の進み具合によって変わり、より高い境地に至るための修習であることを教えています。

アーナンダの反応

この一連の教えに対し、アーナンダは大変喜びます。彼の心には、釈迦の教えに対する感謝の念が溢れ、学びを深める意欲が加速するのです。この経典を通じて、感官との関係性や修養の重要性が正しく理解され、さらなる修行へと導かれることでしょう。

まとめ

『根修習経』は、釈迦が教える感官の修習の本質を探求するものであり、感官をただ遮断するのではなく、無常を観察することで執着を手放すことの重要性を強調します。この経典は、仏教の深い教えに基づき、内面的な平和と理解を得るための指針を提供しています。

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