根本正雄

根本 正雄

根本 正雄（ねもと まさお、1949年 - ）は、日本の教育界において顕著な功績を残した教育者の一人です。特に体育指導法の分野で知られ、「根本体育」の提唱者として多くの教育関係者や子どもたちに影響を与えてきました。また、TOSS（Teachers' Organization of Skill Sharing）の代表である向山洋一氏の教育理念に共鳴し、TOSS体育授業研究会の代表を務めるなど、教育技術の普及・発展にも深く関わっています。

経歴

1949年に茨城県で生を受けた根本氏は、教育への志を抱き、千葉大学教育学部で学びました。1972年に同大学を卒業後、千葉市内の公立小学校において教鞭を執り、長年にわたり子どもたちの教育に尽力しました。教育現場での豊富な経験を積み重ねた後、校長職を務め、学校運営においてもリーダーシップを発揮しました。2010年3月をもって教職から定年を迎えましたが、その後も教育への情熱は衰えることなく、新たな活動を展開しています。

現在は、千葉市内の図書館で司書として勤務する傍ら、子どもたちの健全な育成を目指し、主宰する「根本ワクワク体操教室」で直接指導にあたるなど、精力的に活動を続けています。この体操教室では、根本氏が長年培ってきた体育指導のノウハウを活かし、子どもたちが楽しみながら運動能力を高められるような指導が行われています。

根本体育とTOSS

根本氏が提唱する「根本体育」は、「誰でもわかる」「誰でもできる」を基本理念とした体育指導法です。特定の運動技能だけでなく、運動を通じて子どもたちの体力向上、運動感覚の発達、そして何よりも「楽しい」と感じる気持ちを育むことに重点を置いています。系統的な指導法と、子どもたちを引きつける工夫が凝らされた実践は、多くの学校現場で取り入れられてきました。

また、根本氏は、教育技術の共有を目指す専門家集団であるTOSSの活動に深く関わっています。TOSS代表の向山洋一氏の教育観に共感し、特に体育教育の分野における実践的な指導技術の研究と普及を推進するTOSS体育授業研究会の代表として、その中心的役割を担っています。研究会での活動を通じて、多くの教師に対して効果的な体育授業の実践方法を伝え、日本の体育教育の質の向上に貢献しています。

主な著作

根本氏は、その教育理念や実践的な指導技術をまとめた著書を多数出版しており、これらは教育関係者にとって貴重な手引書となっています。特に明治図書から刊行されている著作群は、体育授業の具体的な進め方、発問や指示の技術、評価方法、さらには教師のあり方について、幅広いテーマを扱っています。以下に代表的な著作の一部を挙げます。

『わかる・できる「根本体育」の基礎・基本』シリーズ
『誰でもできる楽しい体育』 (1985年)
『誰でもできる楽しい体育II』 (1986年)
『楽しい学習活動のさせ方』 (1985年)
『さか上がりは誰でもできる』 (1986年)
『楽しい授業づくりの法則』 (1987年)
『体育科発問の定石化』 (1987年)
『すぐれた体育授業のモデル化』 (1988年)
『体育授業に使える面白クイズ』 (1989年)
『続・体育科発問の定石化』 (1989年)
『体育科指導案づくりの上達法』 (1989年)
『体育科新指導要領の本当の読み方』 (1989年)
『法則化楽しい体育の指導技術 小学1年〜6年』 (1990年)
『指示の技術』 (1991年)
『写真で見る体育授業テクニカルポイント(1)「かかえ跳び込み」の指導技術』 (1992年)
『体育科「関心・意欲・態度」の評価技法』 (1993年)
『体育授業づくり全発問・全指示1体育授業技術入門』 (1993年)
『体育授業づくり全発問・全指示8マット運動』 (1993年)
『体育授業づくり全発問・全指示10跳び箱運動』 (1993年)
『教師生活の条件』 (1994年)
『習熟過程を生かした体育指導の改革』 (1997年)
『「体育授業の法則化」で授業が変わる』 (1997年)
『一流スポーツ選手が残した名言・名句61』 (1998年)
『一流選手を育てた”指導の言葉”名言・名句55』 (2000年)
『授業に使える「体ほぐし」48選』 (2000年)
『体育の達成目標と授業改革 低学年〜高学年』 (2003年)
* 『1週間でマスターできる体育教科書シリーズ(20)『“頭跳ね跳び”新ドリル』』 (2004年)

これらの著作は、根本氏の実践的な教育観と、子どもたちの可能性を引き出すための具体的な方法論が詰まっており、教育現場で活用されています。

根本正雄氏は、教育者として、特に体育指導の分野において、理論と実践の両面から多大な貢献をしてきました。その活動は、退職後も形を変えて続いており、子どもたちへの教育、そして教育技術の普及・発展に尽力し続けています。

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