TOSS

TOSSの概要

TOSS（トス、Teacher's Organization of Skill Sharingの略）は、教育技術に関する方法を提案する団体であり、向山洋一が代表を務めています。TOSSは、教師が指導法を向上させるための情報と技術を共有することを目的とし、1984年に始まった「教育技術の法則化運動」に起源を持っています。これは教育現場における効果的な指導を追求するもので、以前は「法則化」と呼ばれることもありました。

教育技術法則化運動の理念

TOSSが掲げる教育技術法則化運動には、以下の四つの原則が存在します。

1. 多様性の原則: 様々な教育技術を網羅し、幅広い方法論を取り入れる。
2. 連続性の原則: 教育技術は常に改良と修正を必要とし、完璧なものは存在しない。
3. 実証性の原則: 教え方の主張は、具体的な教材や発問、指示、結果を元に裏付けられるべきである。
4. 主体性の原則: 教師は多数の技術から自分の教育スタイルに合った方法を選ぶ責任がある。

向山氏は著作『跳び箱は誰でも跳ばせられる』の中で、明確な指導法があればどんな児童でも3分で跳び箱を跳ぶことができると主張し、教育における技術的アプローチの重要性を訴えました。

TOSSの活動と批判

2000年以降、TOSSはインターネットランド（TOSSランド）を運営し、さらに多くの教育情報や資源を教師と共有するプラットフォームへと進化しました。しかし、TOSSには様々な批判も寄せられています。

特に疑似科学を助長しているとの指摘が顕著です。TOSSは有用微生物群（EM）の教育研究に添って環境問題を扱い、また発達障害に関する教育方法を取り上げることで、偏見や誤った理解を助長しているとされることがあります。また、江戸しぐさや「水からの伝言」といった教育手法も根拠が無いとされ、その取り扱いが批判の対象となっています。

TOSSは、特に情緒や道徳教育において疑似科学的なテーマを多く取り上げる傾向があり、教師が科学的なバックグラウンドに基づかずに技術を信じ込む危険性が指摘されています。

結果として、TOSSは本来の目的であった実証に基づく指導法の発展に向けた取り組みが十分に機能していないとの見解が広まっています。つまり、TOSSの方針が、教育現場での科学的思考を促進するものとは言えないとの評価があるのです。

向山洋一の考え方とその影響

向山洋一は教育に対する真摯な姿勢を持ち、多様な教育方法の中から選択することの重要性を強調しています。彼は、手術技術の例えを用いて、技術の習得が教育者にとって不可欠であることを訴え、問題解決型学習に対する疑問も呈しています。

その影響を受け、関連する雑誌も数多く刊行され、TOSSの理念を広める努力が続けられています。月刊や季刊の教育専門誌がそれに該当し、教育現場での実践的な知識の共有に寄与しています。

結論

TOSSは日本における教育技術の進化と共有を促進する重要な団体ですが、その活動の中には様々な批判が存在し、特に疑似科学に関する議論が多く見られます。教育の効果的な方法を模索し続けるTOSSの今後に注目が集まります。

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