根津昌綱

根津昌綱の生涯と功績

根津昌綱（ねづ まさつな）は、戦国時代から江戸時代初期にかけて活躍した武将であり、信濃国の根津氏の当主でした。彼は永禄3年（1560年）に生まれ、叔父である根津政直の後を継いで家督を相続しました。昌綱の父、根津志摩守信忠は病弱であったため、昌綱が家督を引き継ぐこととなりました。

昌綱が当主となった背景には、信濃の武田家とその崩壊が大きく影響しています。天正10年（1582年）に武田家が織田信長に滅ぼされると、昌綱は徳川家康との関係を強化し、領土拡大を目指しました。彼は最初に北条氏直の下で動いていたものの、後に同族の真田氏との争いを経て、次第に主君を変えながら生き延びていきます。

当主として昌綱が直面した最大の危機は、根津城が進攻を受けたことです。この際、昌綱は留守中に城を守り、防衛に成功しました。この戦功により、北条氏政から更に多くの知行を受けることになり、彼は後北条氏の中でも重要な武将として評価されました。

しかし、後に北条から離れることになります。北条と徳川の同盟が成立したことに伴い、新しい知行地が徳川領となってしまったため、昌綱は北条氏から脱藩し、徳川に従う決断を下しました。その後、上杉景勝に服従した際に徳川氏の信任を得て、信濃の地における地位を更に確立します。

最後には、昌綱は真田昌幸と同心し、彼を家老として迎え入れ、大いに重用されました。この時の合意は、上杉景勝からも評価され、昌綱は自らの地位を固めることに成功します。家督は彼の子息が引き継ぎ、松代藩や沼田藩での家老職を務めることとなりました。

逸話

昌綱にはいくつかの面白い逸話も残されています。例えば、上田合戦の際に昌幸と共に囲碁を打っていたという話があります。この時の昌幸は攻撃に備えてまったく焦っておらず、悠長に構えていたと言われています。昌綱はこの様子を見て業を煮やし、碁盤をひっくり返したところ、ようやく昌幸は鎧を着ることにしたと伝えられています。

昌綱の子孫は、その後も武士としての地位を保ちつつ、松代藩の家老や目付として活躍しました。「家中で腕にもっとも覚えあり」と評価されるなど、根津氏の名は息づいています。彼の人生は、戦国の混沌とした時代の中で、多くの主君に仕え、苦難を乗り越えていった一武将の物語であり、重要な歴史的存在だったことが伺えます。

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