根津清太郎

根津清太郎について

根津清太郎（ねづ せいたろう、1900年 - 1956年）は、日本の昭和時代において、大阪で活躍した綿布問屋、貿易商、そして新版画の版元として知られる人物です。彼の生涯は多岐にわたり、成功と失敗、そして再起の物語と言えるでしょう。

幼少期と家族背景

清太郎は1900年、大阪市東区本町三丁目にて、綿布問屋「根津商店」を経営する家に生まれました。父の根津清は養子でありましたが、離縁したため、母も早くに亡くなったことで、彼は幼少期から困難な環境で育つことになりました。天王寺商業高校を卒業後、家業を継ぐために戻りましたが、当時の「根津商店」は靱公園の大部分を所有するほどの豪商だったため、子供の頃から特権的な環境で育ったと言えます。

結婚と子供

1923年には森田松子と結婚し、一男（清治）と一女（恵美子）をもうけています。家庭を持つことで、彼の責任感や経営に対する意欲がさらに高まったかもしれません。

新版画の出版

1925年、彼は北野恒富の新版画「鷺娘」を版元として出版しました。この作品は彼の芸術的な関心を示すものであり、その後の新版画の隆盛に寄与しました。しかし、同時に彼の製商としての才覚は、経営不振によって試されることになります。

経営の困難と家庭の崩壊

根津商店は、遊興にふける清太郎の姿勢や経営上の判断ミス、そして1932年の十五銀行の破綻などの要因で倒産に追い込まれました。この経験が彼に与えた影響は大きく、1934年には松子との離婚に至ります。その後、北海道小樽に移るも、造船業は失敗し、経済的に困窮することになります。結果的に、彼は土地の多くを二代目伊藤忠兵衛に手放すことになりました。

戦後の生活と再起

戦後の清太郎は東京に移り、1954年には日劇ミュージックホールで再就職します。ここでは、ヌードダンサーの下働きなどの地味な仕事をしていた彼は、小林富佐雄の紹介で宝塚歌劇団の住込み舎監として働くことになります。再婚した妻と共に新しい生活を築く機会を得ますが、この幸福も長続きしませんでした。

最後の数年

残念ながら、清太郎は脳溢血により1956年にこの世を去ることになります。享年はわずか56歳でした。彼の生涯は、経済的な成功と困難、再起を志す試みと、最後に訪れた悲劇的な結末を表しています。

代表的な作品

• - 北野恒富の木版画「鷺娘」（1925年、彫師：山名良光、摺師：松野活水、千葉市美術館所蔵）
• - 北野恒富の木版画「舞妓」（1925年頃、彫師：山名良光、摺師：松野活水、千葉市美術館所蔵）

彼の制作した版画は、当時の文化的な背景を反映した作品として高く評価されています。

結論

根津清太郎は日本の商業と芸術の歴史に名を刻んだ人物であり、その人生はさまざまな波乱に富んでいました。彼の作品や経歴は、当時の社会状況や文化に大きな影響を与えたことでしょう。

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