桂家雁篤

桂家 雁篤（かつらや がんとく）

桂家雁篤（1850年 - 1914年）は、上方落語の落語家であり、特に軽口師としても知られています。本名は田中徳次郎で、享年は65歳でした。彼は落語界において非常にユニークなキャリアを持っており、そのスタイルと影響力は多くの人々に記憶されています。

師匠との関係と初期の活動

最初に桂家雁篤は、4代目林家正三の門下で修業を始め、そこで「正助」という名前で活動をしていました。その後、桂家に移り初代桂文團治の指導のもとで「桂篤團治」と名乗ります。文團治の死後は7代目桂文治のもとで活動を続け、多くの経験を積んでいきました。

彼は最初に初代桂梅團治と軽口のコンビを組む形で活動をしていましたが、明治30年代には相棒を初代桂花咲に替え、軽口専門の落語家としての道を進むことになります。この転機は彼のスタイルを確立する上で非常に重要なものであり、「桂家雁篤」という名に変えることとなります。

主な特徴とスタイル

桂家雁篤の落語家としての力量については現存する記録では詳しくはわかりませんが、軽口においては並外れた才能を示し、ボケ役として一世を風靡しました。その軽妙なやり取りや独特の切り口には、多くの観客が引き込まれたと伝えられています。

しかし、彼の存在はすべての芸人に受け入れられていたわけではありませんでした。若い頃から禿頭であったため「禿徳」と呼ばれ、彼の人気とは裏腹に、同業者からは煙たがられることもありました。そのため、初代桂春団治や5代目笑福亭松喬らとの間でトラブルが発生したこともあります。特に、寄席の大小を巡っての摩擦は激しく、最終的には自宅への放火計画が立てられるなど、物騒な事件まで巻き起こしました。

引退とその後の影響

彼の活動は1909年6月の盛大な引退興行をもって幕を閉じ、その後は舞台から完全に退くこととなりました。しかし、その影響力は彼が引退した後も続き、現在でも彼の名は上方落語の歴史の中で語り継がれています。桂家雁篤のユニークなキャラクターと軽口のスタイルは、多くの後進の落語家にも影響を与え続けているのです。

桂家雁篤の存在は、単なる落語家という枠を超え、上方落語の発展に寄与した特異な存在として、今後もその評価が変わることはないでしょう。

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